映画は九龍城とともにはかなく消えていく…
池田千尋監督の名前を目にし、前々作の「記憶の技法」ではかなり辛辣なことを書いてしまった後悔もあり、見てみようかと公式サイトを覗いてみたところ、いや、これは見ちゃいけないと直感的に感じたんですが、出演者が吉岡里帆さんと水上恒司さんでしたのでまあ大丈夫だろうと見てみました。

出演者を3日しか押さえられませんでした…
見ちゃいけなかったです。
どう表現すればいいんですかね。たとえて言うなら、シナリオなしでとりあえず同じようなシーンを何パターンか撮ってきて、それを後からこうしたほうがいいかな、いやこっちだろうと適当に編集したような映画といいますか、あるいは予算がなく出演者を3日しか押さえられないけどなんとかしてと言われて撮ったみたいな映画といいますか、あるいはまた…、もういいか(笑)。
申し訳ないけど、そうとしか思えない映画です。
香港の九龍城を舞台にした映画で、ただその九龍城は工藤発(水上恒司)の妄想がジェネリックテラという宙に浮かんだ四角い物体によって再現された幻であり、そこには現実世界では死んでいる恋人鯨井令子(吉岡里帆)が存在しており、再び二人は愛し合うという話です。
当然、結末は予想通りになります。
愛し合う二人が九龍城から飛び出しますとそこは野っぱらであり、令子は九龍城とともに消えてしまいます。
吉岡里帆さんがどうしていいか戸惑っている…
原作は眉月じゅんさんの漫画とのことです。
映画を見る限りではウォン・カーウァイ監督の映画の影響下の漫画かもしれないですね(想像です…)。
完結しているのかまだ続いているのかも知りませんが、11巻セットというものもあるわけですから、さすがに原作は映画のような話ではなくもっといろいろあるんだろうと思います。
最近は漫画やアニメの実写化という映画が多いですね。映画になれば原作がなんであれ映画なんですからそれはそれでいいとは思いますが、もう少し映画としての完成度を考えないとだめですね。
吉岡里帆さんもどうしていいのやら戸惑っています。ここ、ミディアム・クローズアップでいきますとか言われて、え?! なに? どうしたらいいの? と困っているようです。
水上恒司さんも、え、オレ、どういうキャラなの? と迷っているのに、とにかく楽しくいきましょ、って言われてやっているような感じです。
予算不足の結果なのか、プロデューサー以下制作陣に力がないんだねと思うしかない映画でした。