墓泥棒と失われた女神

エトルリア古代文明幻想に見立てたラブストーリー、あるいは逆でノスタルジックファンタジーかも…

夏をゆく人々」「幸福なラザロ」のアリーチェ・ロルヴァケル監督です。この「墓泥棒と失われた女神」には「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーさんが主演俳優として出演しています。

墓泥棒と失われた女神 / 監督:アリーチェ・ロルヴァケル

エトルリア古代文明幻想…

前二作に比べますと物語自体に動きがなくあまり整理されていない印象です(ゴメン…)。

物語はこんな感じでした。

イギリス人の元考古学者アーサー(ジョシュ・オコナー)が刑務所から出所してくるところから始まります。アーサーは地元の仲間たちとエトルリア古代文明(紀元前8~1世紀ごろまでイタリア半島中部にあった都市国家文明)の埋葬品(墓…)を掘り出して売りさばくことで生計を立てていたらしく、ひとり逃げ遅れて逮捕されたようです。

しばらくはそのアーサーと仲間たち、そして恋人だったらしいベニアミーナの母フローラ(イザベラ・ロッセリーニ)との関係が描かれていきます。フローラは車椅子生活で音楽を教えているらしく、今はイタリア(カロル・ドゥアルテ)という女性を住み込みで教えています。

話が進展しない割にごちゃごちゃしていますのでどういう意味合いかは掴みづらいのですが、アーサーがイタリアに好意を持つカットが何カットか入っています。また、イタリアはフローラに黙って自分の子どもを2人(3人か…)隠して住まわせています。さらに意味不明ですが、フローラにはたくさんの子どもたち、それも女性ばかりがいて、集まりますと、アーサーのことをあれこれ言ったり、イタリアを蔑んだりとワイワイガヤガヤ言い合ったりします。とにかく意味不明です(ゴメン…)。

で、ある日、アーサーが地下の埋葬品を感知し、皆で掘り出してスパルタコという美術商に売りに行きます。

で、また後日、なんとか祭りの日です。アーサーがイタリアにさらなる好意を感じているシーンなどあり、そしてシーン変わり、海辺のよくわからないところでアーサーがまた埋葬品を感知します。掘り返してみますと、その地下には手つかずの墓があり、アーサーたちはエトルリアの女神アルトゥーメを発見します。仲間たちは運び出すために女神の頭を切断して地上に持ち出そうとします。その時、警察がやってきます。皆逃げ出します。

しかし、その警察は偽物でありスパルタコの手先たちです。まんまとアルトゥーメを手に入れたスパルタコは競売にかけます。そうと知ったアーサーたちはその場に行き、アルトゥーメの頭部を持っていると言い、スパルタコに売りつけようとします。嫌気が差したアーサーは頭部を海に投げ入れます。

アーサーは仲間たちと決別します。また、自分の住まいである掘っ立て小屋も解体され行き場を失います。そんな時、イタリアの娘と出会い、イタリアのもとに行きますと、イタリアは廃駅(前振りあり…)を改装して多くの女性たちと共同生活をしています。再会したアーサーとイタリアはキスをします。しかし、なぜかアーサーが突如愛の行為を中断してしまいます。

シーン変わって、アーサーはスパルタコの手先たちと埋葬品を探しています。感知したアーサーが墓を掘り出し、地下に入っていきます。その時、入口が崩れてアーサーだけが閉じ込められてしまいます。アーサーはろうそくの火を持ち先に進みます。赤い糸が頭上からぶら下がっています。見上げますとかすかに光が。アーサーは赤い糸を手繰り寄せます。しかし、途中で切れてしまいます。同じ時、地上ではベニアミーナがその赤い糸を手繰り寄せています。

前振りとして、ベニアミーナが自分のニットドレスの糸がほつれていることに気づき、その先をたどっていきますと、地中に埋まってつながっているというシーンがかなり早い段階に入っています。

アリーチェ・ロルヴァケル監督、次作で再出発か…

という、物語的にはかなり混乱したファンタジーです。

結局のところ、エトルリア古代文明へのノスタルジックファンタジーをアーサーとベニアミーナのラブストーリーに見立てて描いているんだと思います。

それにしても評価された後の作品というのはなかなか難しいもので、アリーチェ・ロルヴァケル監督、「夏をゆく人々」「幸福なラザロ」と進むごとに混乱が増していくような気がします。

ここで一旦、間をおいて、本当に自分をやりたいことを見つけて再出発になるんだろうと思います。

余計なことをゴメン…。