パラダイス・ネクスト

豊川悦司、妻夫木聡、ニッキー・シエがかわいそう

フィルム・ノワール系が狙いなんでしょうが、これはかなり厳しい出来ですね。

監督は、「雨にゆれる女」の半野喜弘さん、音楽家としてのキャリアは長く、ジャ・ジャンクー監督やホウ・シャオシェン監督の音楽を手掛けている方です。映画では前作の「雨にゆれる女」が長編デビュー作で、この「パラダイス・ネクスト」が二作目です。

パラダイス・ネクスト

パラダイス・ネクスト / 監督:半野喜弘

まず、いっちゃ何ですが、最後まで何やってんだかよくわかりません。

台北です。牧野(妻夫木聡)と島(豊川悦司)がいて、ヤクザがいて、何だかわからないままに、二人は豚肉を積んだトラックで花蓮に向かい、シャオエン(ニッキー・シエ)と出会い、彼女の家に泊まることになり、突然シャオエンが楽園へ行こうと言い出し、どこだかわからないけど三人で海へ向かい、シャオエンがどこへのだかわからないチケットを買いに行ったと思ったら、そのまま戻らず、しばらく探すとシャオエンは殺されており、なぜだかわからないけど車に乗っている殺し屋を島が撃ち殺し、一方の牧野は小舟に死んだシャオエンを乗せて海へ漕ぎ出し、島は牧野を狙って引き金を引こうとするが、目をつむりわざと外して2発撃つのです。

これ、どういうストーリーなんでしょうね?

こういうことみたいです。

一年前のこと、島は東京でシンルー(ニッキー・シエ)のボディガードをしていたのですが、シンルーが何者かに殺され、そのことを悔やみ、台北のガオというヤクザのもとで暮らしています。

牧野は何者かに追われて台北へ来ています。

東京から加藤というヤクザがやってきて、島に牧野を殺せと命じます。

島と牧野は花蓮へ行きます。シンルーとそっくりなシャオエンに出会います。

346という殺し屋が来ます。加藤やガオを殺します。さらにシャオエンを追います。

346がシャオエンを殺します。島が346を殺します。

牧野が島に、実はシンルーが死んだのは自分のせい(クスリ?)だと告白します。

島は牧野を見逃します。

え? どういうストーリー?

映画って、もちろんストーリーだけではありませんが、さすがにこれだけ意味不明では映画になりません。

こういう画を撮りたいという思いがあることはわかります。たとえば、島がバイクの後ろにシャオエンを乗せて自転車の牧野とともにゆったりと蛇行しながら走るシーン、夜の花蓮のカット、楽園目指して真っ直ぐな道路を走るシーン、夜が明ける前のおぼろげなカット、海辺のシーンなどなど、でも、それらの画って既視感が強すぎません?

シナリオも半野喜弘さんらしいです。これからも映画を撮るのであればプロに頼むべきでしょう。

それに、さすがにこれでは俳優がかわいそうです。

雨にゆれる女

雨にゆれる女