フランケンシュタインと花嫁(ブライド)のボニーとクライド的愛の逃避行
こういう映画を撮る監督、好きですね。映画としては、んーとはなりますが、迷いがなくやりたいことをやっている感じがいいんです。マギー・ギレンホール監督、俳優としてのキャリアは長く、監督は2作目ですか。思いっきりがいいですね。

ネタバレあらすじ
映画はつぎはぎだらけのパクリも辞さない突き抜けた話です。いや、突き抜けてはいないですかね(笑)。
おそらくやりたいことは、女性の怒りをあえて声高に叫ぶことだと思います。なぜ声高に叫ぶかは、まったくの想像で言えば、#MeToo といったスローガンで消費されてこぼれ落ちてしまう怒りをはっきりと言葉で表現することで怒りを前景化しようとしているのではないかと思います。
アイダにメアリー・シェリーが憑依する
1936年、シカゴに住むアイダにメアリー・シェリーが憑依します(乗り移ります…)。
冒頭、亡霊のように顔だけのメアリー・シェリー(ジェシー・バックリー)が現れて怒りをぶちまけ続けますので、なんじゃこりゃ?! となります。
メアリー・シェリーは『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』の作者です。ただ、当時(1818年…)のジェンダー観では詩や小説といった知的創作物は男性のものであり、女性の名前で出版しても売れないからと作者の名を出さずに夫のパーシー・シェリーの序文をつけて、あたかもパーシーの作であるかのように出版されているのです。パーシーはすでに著名な詩人です。
メアリー・シェリーを描いた映画があります。
メアリー・シェリーがそうした怒りをぶちまけ、まだ書きたかったことがあるのだと嘆いているその時、1936年のアイダはマフィア(かな?…)のパーティーで男たちの卑猥な会話の中に置かれています。突如、アイダがボスに絡み始め、挑発し、吐き、時にメアリーの気持ちを代弁するかのように韻を踏んだような文学的表現(だったかどうかは?…)で叫び、暴れだします。
メアリー・シェリーがアイダに憑依したのです。
マフィアの手下の男たちは手のつけられないアイダを連れ出し何度も平手打ちし暴行します。アイダは階段から転落して死んでしまいます。
フランケンシュタインの花嫁
同じ頃、フランケンシュタインの怪物フランク(クリスチャン・ベール)がユーフォロニウス博士(アネット・べニング)のもとに現れます。フランクは孤独に耐えられず博士に伴侶をつくって欲しいと言うのです。二人は埋葬されたアイダを掘り起こして蘇生させます。
フランケンシュタインの花嫁ブライドの誕生です。
「フランケンシュタインの花嫁」は前作「フランケンシュタイン」の続編として1935年に製作された映画です。この映画では花嫁は最後に、しかも数分しか登場しませんので「ザ・ブライド」はリメイクということではありませんが当然意識されているでしょうし、現代的価値観で新たに創造しようとしたのだと思います。本歌取りみたいなものです。
蘇生したアイダに記憶はありません。フランクは自分の花嫁だと言い含めようとします。
ボニーとクライド的、愛の逃避行
ということで念願の伴侶を得たフランクです。
なのですが、このラブストーリー、なぜか煮えきらないのです。要はふたりの関係に心動くものが感じられないんです。多分、ブライドが何を求めているのかの人物造形の基本がしっかりしていないんだろうと思います。ですので、フランクもブライドにどう対していいのか最後まではっきりせずに、ただ空虚なボニーとクライド的な愛の逃避行だけが続くという結果になっています。
ざっとした流れを書きますと、フランクは映画好きであり、お気に入りのミュージカルスター ロニー・リード(ジェイク・ギレンホール)の映画を観ることを楽しみにしています。ふたりで映画を見た後にクラブへ行きダンスを楽しみ、そして二人組の男に絡まれ、フランクが二人を殺害します。その後、二人は列車でニューヨークへ逃げますが、さらに途中で警官を殺害します。
もうこのあたりからは逃げているということだけでなぜ逃げているのかといったことにほとんど意味はありません。フランクがパーティーでロニー・リードに会うものの相手にされなかったり、さらに誰かを殺していたようでもあり、そしてナイアガラの滝へ向かいます。これらの逃走経路はすべてロニー・リードの映画によるものとして進みます。
ふたりを追う刑事が登場します。刑事(ピーター・サースガード)とその助手(ペネロペ・クルス)です。ふたりを追う過程で刑事は撃たれて死に(死んでいなかったかも…)、その場で助手を刑事に昇格させていました(笑)。
確か(笑…)フランクも撃たれて死んでいました。誰にだったか、ああ、マフィアのボスの手下だったかも知れません。とにかく、ブライドはフランクを車に乗せてユーフォロニウス博士のもとに向かいます。
ブライドがフランクの蘇生を願い出ている間だったかにマフィアが侵入しブライドを射殺、ブライドは横たわるフランクの上に倒れます。駆けつけた刑事となった助手は警官たちにマフィアを追うよう指示し自らもその場を後にします。
刑事となった助手が博士の建物を振り返りますと一瞬明るく光っています。重なって横たわったフランクとブライドの手が求め合うように握られます。
感想、考察:こういう映画を撮る監督は好きなんだけど…
ジェシー・バックリーさんの振り切れた演技が楽しいです。「ハムネット」ではアカデミー賞主演女優賞受賞です。本当に素晴らしい俳優さんです。私が見ている過去作では「ワイルド・ローズ」がよかったですね。
それにしても、この映画、すごいキャスティングです。
クリスチャン・ベールさん、ピーター・サースガードさんはマギー・ギレンホール監督の夫です。そして、アネット・べニングさんにペネロペ・クルスさん、さらにジェイク・ギレンホールさんはその名のとおり弟さんです。
ああ、結構身内キャスティングなのかな。
ジェシー・バックリーさんはマギー・ギレンホール監督の前作「ロスト・ドーター」でも出演しています。NETFLIX での配信だけだったようです。
ということで、映画としてはもうひとつでしたがマギー・ギレンホール監督には好感を持った映画でした。
俳優としては「クレージーハート」を見ており、ほとんど記憶はありませんがレビューを読みますとマギー・ギレンホールさんがよかったと書いています。