モントリオール映画祭で最優秀脚本賞ですか…。「おくりびと」といい、この映画といい、どうも私はこの映画祭とは肌が合わないようです。
(以下、この映画を良かったと思われる方は、間違いなくムッとしますので、読むのは自己責任でよろしくです。)
この「誰も守ってくれない」、私には、フジテレビでやるべきテレビドラマにみえるんですよね。犯罪における加害者家族の問題を「踊る大捜査線」のごとき、大衆迎合的エンタテイメントにしてもらっても、どうなんでしょう…?といっても、私、「踊る〜」自体を観たこともありませんので、戯言と思って読んでくださいませ。ペコリ。
で、何が大衆迎合的って?
皆が皆、悪いのはボクじゃない、って、自分をエクスキューズしているんですよね。もちろん、この世の中、言い訳ができなきゃ息苦しくってやってられやしませんが、だからといって、言い訳をして、気分スッキリ、心も晴れ晴れってのは、こういったテーマにはちょっとね…。
主役の刑事(佐藤浩市)は、3年前だったか、過去に致命的なミスを犯し、子供を死なせていますが、それは、出世しか頭にない上司のせいだと、それも自らではなく、死なせてしまった子供の親(柳葉敏郎)に言わせて、なおかつ、柳葉には自分の本当の気持ちを押さえている見え見えのクサイ芝居をさせ、その感情を一瞬爆発させることで、そりゃそうだよと、みんなでエクスキューズ!挙げ句の果てに、ラストには、新しい命が妻に宿っていると刑事に伝えて、お互いに、またもエクスキューズ!そして、一件落着、刑事は、晴れ晴れとした表情で歩きながら、当初から幾度もアップのカットを挟んで、ラストまで引っ張ってきた娘へのプレゼントを渡す電話をするのです。きっと、離婚の危機も乗り越えられるのだろうと希望を抱かせながら…。
何も問題は解決していないのに、です!
この映画が、フジテレビのプロデューサーに、フジテレビ系の脚本家である監督が描く、犯罪報道のあり方、特に加害者家族の扱いをテーマにした社会派映画、とするならば、新聞記者の男(佐々木蔵之介)が、その代弁者ということなのでしょう。記者は、そもそも自分の行為が発端なのに、ラストでそれを自ら認めることによって免罪されようとします。そもそも、発端となる行為自体も、実は自分の息子はいじめにあって自殺(だったと記憶)しており、見殺しにした学校を恨んで、加害者家族を守る警察を敵視することから始まるという、これまた自分自身にエクスキューズ!
で、挙げ句の果てに、加害者の家族を執拗に追い詰める本当に悪い奴らは、顔の見えない匿名のネットなんだと、いつの間にか、巧妙にかすり替え、悪いのは自分たち真っ当なメディアではないのだと、さらに、警察もネットを利用して煽っているのだと、まるで自分たちに罪はないのだと…。
本当に悪いのは誰なの?に、です!
書いていて、一体、私はテレビ、特にフジテレビにどんな恨みがあるのだろうと不思議に思いつつ、
まあ、そんなことは放っておいて「テレビなど観ていないで、映画を観よう!」