人間みんなバードピープルですよ。
予告を見た印象ではもっとファンタスティックな映画かと思っていましたら、結構シリアスで、ちょっと不思議な感じの映画でした。
ファンタジーをイメージしたわけは、主役の役名がオドレイで、演じているのがアナイス・ドゥムースティエときていて、似ているわけではないのですが、なんとなく「アメリ」のオドレイ・トトゥが浮かんでしまい、きっとアナイスが鳥になって空を飛び、アメリカ人のビジネスマンを自由の世界に誘うんだろうなあと想像していたということです(笑)。
パリ、シャルル・ド・ゴール空港内のホテル。
ここでは鳥が止まり木を渡るように、人びとが毎日忙しく行き交っている。このホテルですれちがう、世界をひとり飛び回るビジネスマンのゲイリーと、かわりばえのしない毎日をおくるホテルメイドのオドレー。境遇はちがうけど、どこかで日々に行きづまった2人。自由になりたい ――。
そんな2人に、明日を変えるちょっと不思議な出来事がふと訪れる。(公式サイト)
まあ確かに、オドレイ(アナイス・ドゥムースティエ)は空を飛ぶには飛びますのであながち間違っていたわけではないのですが、アメリカのビジネスマン、ゲイリー( ジョシュ・チャールズ)は、誰の助けを借りることもなく自らの意志で見事にくだらない世界から飛び立っていきました。
まあ飛び立ったにしても、飛び立った先にさほど違った世界があるとは思えませんが…、などと身もふたもないことを映画は言っているわけではありません。ちょっと余計でした(笑)。
で、ちょっと不思議な感じといいますのは映画のテンポと間合いです。
例えば、導入、人が行き交う街中や駅の雑踏のカットが何枚も続くのですが、これが私の感覚からすると異常に長いのです。映像としてはさほど何かを強調しているようには思えなかったのですが、あるいは日常のかったるさとかやるせなさとか、脱出すべき対象という意味合いがあったのかもしれません。
ゲイリーが、パリに出張中に全てを捨てることを決断し、妻と skype で話し合う場面があるのですが、これがまた執拗なんです。ただこのシーンは結構面白かったですのであまり抵抗は感じなかったのですが、映画的に言えば長いでしょう。
そして、オドレイが鳥になって鳥目線で世の中を見るシーン、特に同僚の車の後をつけ郊外に行った後の朝のシーン、いろいろな鳥が飛び交う爽やかな朝みたいなカットが結構長く続いていました。
もし私がこの映画の編集をするのであれば、これらのシーンはすべて半分です。
時間やテンポだけではなく間合いもゆったりしています。多分、パスカル・フェラン監督の持ち味なんでしょうね。
ただそうしたことを否定的に感じたわけではありませんので、それが不思議な映画という言葉になったということです。
ラストシーンは、バードピープル同士どこか通じ合うということなんでしょうか。
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