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ヴィヴィアン・マイヤーを探して/ジョン・マルーフ監督チャーリー・シスケル監督

写真に興味をもつのは当然だけれど、ナニーという職業にも

2015/11/30

ヴィヴィアン・マイヤーさんが現代に生きていたら、自分の写真をネットで公開したんでしょうか?

つまり、たくさんの人に見て欲しいと思っていたけれど方法がなかったのか、単に趣味として撮っていただけでそもそも人に見せる考え自体がなかったのか、あるいは社会的に写真家という存在が認知されていなかったのか、という意味での疑問なんですが、それにしてもどの写真も何か語りたがっている感じがします。すごいですね。

(略)撮影者の名はヴィヴィアン・マイヤー。すでに故人で、職業は元ナニー(乳母)。15万枚以上の作品を残しながら、生前1枚も公表することがなかった。ナニーをしていた女性がなぜこれほど優れた写真が撮れたのか?なぜ誰にも作品を見せなかったのか?監督は、この世紀の大発見の張本人であるジョン・マルーフ。アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞にもノミネートされた新たなアート・ドキュメンタリーの傑作がついに日本上陸!(公式サイト)

人物をとらえた写真が多いですし、今で言えば自撮りも結構目立つことを考えれば、相当人間、そして自分に対しての興味は強かったんでしょう。

この映画によれば、ほぼ一生を乳母、言葉としては職業としてのナニーと表現したほうがいいのかもしれませんが、あちこちで住み込みで働いていたようです。登場人物の多くが自分のナニーであったとか雇っていた夫婦であるとかでした。

現代の我々の感覚からみますと、そこにかなりの落差を感じますが、映画を見る限り本人に社会的評価を求めたり、それが叶わぬことで落胆していたなどの形跡もなさそうですので、本人にしてみれば充分にバランスのとれた行為だったんでしょう。

それにしても写真が堂々としていますね。ポーズをつけたりしたかどうかは分かりませんが、今のようにデジタルで撮りまくるわけではないでしょうから、何らかの方法によって被写体に指示を出していると思います。

多分、その瞬間、ヴィヴィアン・マイヤーさんは完全に自分自身を(プロの)写真家と認識していたのではないかと想像します。

ということで、この映画はヴィヴィアン・マイヤーさんという存在を教えてくれたという意味においては評価されますが、映画としてはもうひとつの印象です。どういうことかと言いますと、見ていても、へぇーこんな人がいたんだ以上に感じるところはなく、見えてくるものがほとんどありません。

特別批判しようとしているわけではなく、多分そもそもの目的に資金稼ぎもあるのではないかと思いますのでそれはそれでいいわけですが、やはり映画であるならば、ジョン・マルーフ監督自身がヴィヴィアン・マイヤーさんをどう見るのか、なぜ埋もれたままであったのかなどのつくり手の視点がほしいと思います。多分、この映画を見て感じることはほぼ百人が百人同じように、こんな人がいたんだ!? なぜ世に出なかったんだろう?と考えるでしょう。

それじゃなんだかつまらないじゃないですか。

ところで、ナニーという職業、日本では一般的には職業として認知されていないと思いますが、アメリカ映画などには時々出てきます。ざっとググってみましたら、ベビーシッターとは違うとか、日本ナニー協会という組織があるとか、13歳のハローワークで人気1位だとかがヒットします。

こちらのサイト、3,4年前の記事ですがアメリカの事情が参考になります。

シーヴァス 王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語/カアン・ミュジデジ監督
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