この程度の「悪」では99%を操ることは出来ないし、この薄っぺらさでは1%の希望も見えない
毎週土曜日に、その週の上映予定をざっと見て何を見るか予定(というほどではない)を立てています。で、この「ドリームホーム 99%を操る男たち」、しばらく前から上映されていると思いますが、タイトルではどんな映画か全く想像力が働かず、画像の印象からクライムものかなとスルーしていたのですが、ふと見たレビューか何か(もう記憶がない(笑))で興味がわき見てみました。
「99%」って、「1%の富裕層が世界の富を独占」からの意味だったんですね。
1%の富裕層が世界の富を独占し、99%を貧困化させている
リーマン・ショック後のアメリカを舞台に、金、欲望、モラルの間で人生を狂わせていく男たちを描いた本作。住宅ローン返済不能で家を差し押さえられた人々の事実に基づき、映画化された。(公式サイト)
見なけりゃよかったです(笑)。
なぜって、15分くらい見れば、もう最後まで読めてしまう内容なんです。
もちろん細かいところまでとは言いませんが、デニス(アンドリュー・ガーフィールド)が、悪徳不動産業者リック・カーバー(マイケル・シャノン)に家を奪われるシーンのリックの顔アップを見れば、デニスを「できるヤツ」と目をつけたことは分かりますし、デニスが迷いながらもリックの部下になっていく様子を見ていれば、金を稼いで家を取り返し、それが行き過ぎて最後は破綻するんだろうくらい、誰にだって読めます。
まあ先が読めたにしても、もう少しデニスの苦悩であるとか、「悪徳」の本質(的なもの)に迫るとかであれば、見られる映画になったのではないかと思いますが、話が上っ面を追いかけているだけで薄っぺら過ぎますし、そもそも「99%を操る」にしては、いかにもスケールが小さいでしょう。もちろん邦題ですのでこんなところにケチつけてもどうしようもありません(笑)。
それにしても典型的なアメリカ映画です。「悪」を描いても、必ず最後はアメリカの「良心」が勝利し、かと言って何か変えようとしているかというとそうでもなく、結局「悪」の何たるかがさっぱりわからないというパターンです。
ラミン・バーラニ監督はイラン系のアメリカ人なんですね。両親は移民のようですが、本人はアメリカ生まれのアメリカ育ちのようです。
公式サイトのスタッフページを見ていましたら、脚本にアミール・ナデリさんの名前が出ていました。「駆ける少年」はむちゃくちゃいい映画だったんですけどね。