シング・ストリート 未来へのうた/ジョン・カーニー監督

MTV世代が撮った懐かしの80年代UKポップス映画。やっぱり人は30年前を懐かしがる。

「音楽映画にハズレはない」は、ほぼ定説ですし、その上「青春恋愛もの」とくれば、これはもう鉄板でしょう。

とにかく、何も考えなくてもいい、楽しめる映画でした。

デュラン・デュランやザ・キュアー、アーハ…、後は、ホール&オーツも流れていましたっけ? といった感じで、一度は耳にしている曲がたくさん流れますし、コナーたちのバンド「シング・ストリート」が演奏するオリジナル曲も、80年代 UK ロック(ポップス?)風のいい感じで、さほど夢中になった世代ではありませんが、UK ロック全盛期(日本での)を知っている者とすれば、懐かしさを感じつつ見られる映画でした。

1985年、大不況のダブリン。コナーは、父親の失業のせいで公立の荒れた学校に転校させられ、家では両親のけんかで家庭崩壊寸前。ある日、街で見かけたラフィナの美しさにひと目で心を撃ち抜かれたコナーは、「僕のバンドのPVに出ない?」と口走る。慌ててバンドを組んだコナーは、猛練習&曲作りの日々が始まった――。(公式サイト

ジョン・カーニー監督が自伝的物語と語っている、との記事が公式サイトありましたが、特徴的なのは、音楽が「ミュージック・ビデオ」に直結していることです。

コナー(フェルディア・ウォルシュ‐ピーロ)がラフィナ(ルーシー・ボイントン)に一目惚れしてナンパする場面、ありもしないバンドの MV に出ないかと誘うところなど、監督自身、MV 世代ということでしょう。

コナーが兄ブレンダン(ジャック・レイナー)とテレビにかじりつきになる場面、映像は「デュラン・デュラン」だったのですが、何を見ていたのかと思いましたら、当時 BBC が放送していた番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」が MV を流していたという設定だったんですね(多分)。これです。 


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ちょっと恥ずかしい感じがなんとも言えないです(笑)。

コナーたちのオリジナル曲を MV の撮影という設定で見せていたのも効果的でした。


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これが最初の曲「The riddle of the model」で、MV 風の荒れた映像を挟みこんだりしています。ラフィナとの恋愛物語をテンポよくさらりと描く上でも良かったと思います。

兄ブレンダンの立ち位置も、意味不明(笑)で面白かったです。

あれは音楽に挫折して引きこもっているって設定ですかね? 自分の実力に挫折? 家族に反対された? いずれにしても、そんなヤワでロックはできないだろ!って感じですが、まあ、コナーを動かすための起爆剤的な立ち位置としては面白いと思います。

ラスト近くのダンスパーティの演出、仲間に盛り下がると言われながらもバラードを歌う展開の意図はよく分かりませんでしたね。単調に盛り上げるのをダサいと思ったのか、一度下げてラストに盛り上げようとしたのか、何なんでしょう?

ラストシーン、コナーとラフィナの突然のロンドン行きは意表を突いていました。

かなり唐突でしたし、お前ら死ぬぞ! と言いたくなりますし、荒れた海での二人のアップがスタジオ撮りだと思いますが、なんともシラケる映像でした。

ジョン・カーニー監督、「ONCE ダブリンの街角で」「はじまりのうた」、共に見ていなく、ずっと気になっていたのですが、まあこれならスルーでもいいかなという印象ではありました。もちろん、いまさら DVD を借りてまで見なくてもいいかなという意味です。