リトル・ボーイ 小さなボクと戦争

映画 第二次大戦時の日米が描かれていますが、偏見もなく、バランスの取れた優しい映画です。

日本人から見れば、広島、原爆、ジャップが気になってしまう映画ですが、基本は少年ペッパーの交流と成長物語でしょう。

それに、原爆投下の善悪については、ごく一般的なアメリカ人の認識そのものなのだと思います。

監督は、メキシコ人のアレハンドロ・モンテベルデさんという方で、1977年生まれですから39歳です。どんな経歴かとググってみたら、何と、一年くらい前に、父親と兄弟が誘拐されて殺されているんですね。びっくりです。

監督:アレハンドロ・モンテベルデ

第二次世界大戦下、アメリカ西海岸の小さな町。8歳の少年ペッパーは町の誰よりも背が低く“リトル・ボーイ”とからかわれていた。唯一の“相棒”である父が徴兵されることに。一度は絶望したペッパーだったが、町の司祭とその友人である日系人ハシモトの力を借りて、戦場からの“父親奪還大作戦”が始まった!少年の一途な想いは、海を越えて父親へと届くのか。(公式サイト

時代が、第二次大戦が終わるころまでの1940年代ですから、当然といえば当然、オールセットで昔くさい作りです。監督もそれらしさにこだわっているのでしょう、キャスティングもそれっぽさがにじみ出ていますし、人間関係もかなりデフォルメされて、昔のハリウッド映画を見るようです。

ペッパー(ジェイコブ・サルバーティ)の成長、と言っても、実はあまり精神的な変化は描かれておらず、それがこの映画がつまらない理由のひとつなんですが、それはともかく、ペッパーがオリバー司祭から与えられる善行リストを実行していくことが映画の軸になっていますので、その意味ではかなり宗教的な映画とも言えます。

このリスト、公式サイトによりますと、

ペッパーがよい行いをするよう“ハシモトに親切を”と付け加えたキリスト教に古くから伝わるリストを渡した。

とありますが、そういうものなんでしょうか?

好感が持てるのは、幻想(妄想?)シーンで「侍」が出てくるのですが、こうした日本(風)描写に違和感が感じられないことです。もちろんイメージシーンですから、劇画チックといいますか、アメコミ風といいますか、アニメ風といいますか、 作り物くさいわけですが、とても丁寧につくられていました。

ペッパーくんの幻想シーンとして、破壊された広島をイメージしたワンシーンがあるのですが、こうした描き方にも、監督のバランス感覚のようなものが感じられますし、この映画が優しいものになっているひとつの理由でしょう。

ただ、そうした監督の優しさのようなものが、結果として映画を曖昧なものにしている感じがしますし、何やらぼんやりした印象を感じさせます。映画のリズムもかなり鈍く、ほぼ先も読めますし、少しつらい映画ではあります。

母親を演っていたエミリー・ワトソンさん、誰だっけ?誰だっけ?と考えながら見ていたのですが、「奇跡の海」のベスでした!

この映画では、物語を進めていく役回りではなく、ペッパーを見守る立場でしたが、何ともいい感じでした。目がくりくりっとして可愛さもあり魅力的でした。

「奇跡の海」見たくなりました。

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