マリの女性たちの性と生、女性賛歌的でエロさはないよ
「ロシア西部のヴォルガ川流域に広がるマリ・エル共和国」
こういう知らない国や地域の名を聞きますと、え?どこどこと、即、グーグルマップを開きたくなりますし、どんな映画だろう?と興味をそそられます。
もっと南のコーカサス地方かと予想してマップを見たのですが、意外にもモスクワに結構近いんですね。と言っても、モスクワから東へ 600kmくらいの距離はあります。
監督:アレクセイ・フェドルチェンコ
ロシアの少数民族で、独自の言語、文化、宗教を持つマリ人の女性たちの物語。四季の移り変わりによって様々に彩られる風景と、世俗的な近代性に染まることなく、独自のフォークロアの中に生きる女性たちの美しさを、まるで、印象派の巨匠ルノワールの絵画のように瑞々しく、鮮やかに描き出しつつ、どこにもない摩訶不思議な世界を作り上げた。(公式サイト)
数えてはいませんが、タイトルに24人とありますので24人なんでしょう、「O(オー)」で始まる名前を持つ24人の女性たちの、何ていうんでしょう? 「性にまつわる」という表現が一番近いでしょうか、「セックス」そのものの場合もありますし、「生」きることでもありますし、「自然」とのつながりのようなこともありますし、そうした女性たちの生きざまが、神話的でもあり、また説話的でもある描き方で描かれていきます。
ラストに「世界に平和を!」のメッセージ的なカットがありましたが、確かに、女性の世界には戦争などあり得ないですね。
24の話は、それぞれ関連性はありませんし、ひとつひとつも掴みづらい内容のものもありますので、映画として面白いかというとやや厳しい面もありますが、画も美しいですし、女性が皆生き生きしていますし、捨てがたい映画です。
ひとつひとつの意味あいを知って見たほうが楽しめそうです。中には笑えるシーンもあるのですが、考えながら見ていて、笑いそこねてしまいました。
こういう映画を見ていますと、なんだ、生きるって単純なことだと思い知らされるんですが、一旦場内が明るくなってしまいますと、ああ、そうもいかないかと実に簡単に現実に引き戻されてしまうという…ことですね。