そんなには褒めないよ。映画評

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エヴォリューション

ネタバレ/美しくも不可解な映像の連続、フランス発SF(?)ホラー

2017/01/03

これからこの映画を見ようと思われる方は、どんな内容かを知ってから見るべきだと思います。さもないと、???で終わってしまいます。 

映画自体は謎ばかりなんですが、謎解き映画ではありませんので、物語を知って見たからといって失うものはありません。むしろ、どういうこと? などと考えなくてもよい分、細部に目がゆき、見落とすことなく見られます。

映像もかなり暗めですし、陰影を強調した画が多いですので、???で見ていきますと、何か見落としたかもしれないと気になって集中できなくなります。

監督:ルシール・アザリロヴィック

秘密の園の少女たちの世界を描いた『エコール』から10年。ルシール・アザリロヴィック監督が描く、少年と女性しかいない島――奇妙な医療行為を施される少年たち、夜半に海辺に集まる女たち、エヴォリューション(進化)とは何なのか…?原始的な感情を呼び覚ます圧倒的な映像美で描く、倫理や道徳を超えた81分間の美しい“悪夢”(公式サイト)

で、簡単に内容(ストーリーではありません)を書きますと、

大人の女性と少年だけが暮らす島があります。女性たちは水生生物で背中に吸盤があり、水中で呼吸も可能な(多分、進化した)人類です。少年たちは、その女性と一対一で擬似母子のような暮らし方をしており、女性は少年に海藻とヌードルを煮込んだような食事(ミミズと書いているサイトあり)や液状の薬を定期的に与えて、飼育しています。女性たちには生殖能力はなく、手術で少年のお腹に胎児を埋め込んで育て、種族の維持をはかっています。

ということで、物語自体にはツッコミ無用の映画です。

で、この映画を見て何を感じるか、もちろん人それぞれですが、私はかなり否定的です。

映像が美しいか? さほどでもありません。水中撮影も特にどうということはなく、陰影を強調した映像も新鮮さはありません。

哲学があるか? ありません。エヴォリューション(進化)とは何か? 水生生物になる意味とは? 子どもたちを個体維持の道具にすることとは? 映画に、それに向き合う意志は感じられません。

そもそも、登場人物(俳優)が皆死んでいます。生き生きと演じていません。多分、子どもたちも何をやっているのか理解していないでしょう。瞬きしないでここを見てとか、ここからここまで歩いてここでじっと立っていてと撮った画としか思えません。

挑戦的な危なさはあるか? ありません。内容の危なさに比してかなり抑制的に撮られています。背徳的でもありません。ツッコミ無用と書きながら突っ込んでもしかたありませんが、子供の体内に胎児を埋め込んで育てるという、ただ奇妙なだけの発想に常識的道徳や倫理を覆すだけの力はありません。

女性たちの性的行為(だと思う)も単なる映像的趣味からのものとしか思えませんし、全体的にも、映像的な悪趣味さがあるかと言えば、それも中途半端です。

ラストも、何やら(監督が)罪悪感にでもとらわれたのでしょうか、ひとりの少年を開放し、その先に工場地帯の夜景を見せるって意味不明です。

ルシール・アザリロヴィック監督は、「考えるのではなく、感じる映画」と言っているそうですが、この映画は(私には)感じようがありません。

人間って、意味もなく感じるようには出来ていないと思います。何かに感じ、感動する時は、記憶であったり、悩みであったり、誰かへの想いであったり、そうした様々は感情が想起される「意味」を持つものが眼前に現れるときであって、そうした「意味」を持って作られていないものには感情は動きません。

最後まで説明的シーンを排除する媚びない姿勢は評価できますが、かといって、すべてが意味不明のままでは、え?何?どういうこと?と、「感じる前に考える映画」になってしまいます。

と、完全否定のような感想になってしまいましたが、見終わった直後にはそこまで思っていなかったのですがなぜでしょう(笑)。

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