そんなには褒めないよ。映画評

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こころに剣士を

大国に翻弄される小国エストニアの悲劇が根だけれども、それを抑えて静かに感動物語

2016/12/31

2016年、最後の映画は静かなる感動物語でした。

戦争はいろんな悲劇を生みますが、この映画は、第二次大戦中はドイツ占領下であったためにドイツ軍として戦い、終戦後はソ連に併合されたために、今度は追われる身となったエストニア人のフェンシング選手の話です。

実話ベースの映画とのことです。

監督:クラウス・ハロ

1950年初頭、エストニア。ソ連の秘密警察に追われる元フェンシング選手のエンデルは、小学校の教師として田舎町ハープサルに身を隠す。エンデルは課外授業としてフェンシングを教えることになる。ある時、レニングラードで開かれる全国大会に出たいと子供たちからせがまれたエンデルは、捕まることを恐れて躊躇うが、子供たちの夢を叶えようと決意する。果たして彼らを待ち受ける予想もしない出来事とは?遂に、子供たちとエンデルそれぞれの戦いが始まる―。(こころに剣士を)

個人的には、なぜエンデル(マルト・アヴァンディ)はドイツ軍に加わったのかとか、ハープサルに来るまではどんな生活をしていたのかとかを描いて欲しいとは思いますが、こうした映画にはそれも野暮なのかもしれません。

そうしたややこしい話は抜きにして、エンデルと子どもたちのふれあい、エンデルとカドリ(ウルスラ・ラタセップ)の恋愛に焦点を絞っているようです。

ソ連の秘密警察に追われる身となったエンデルが片田舎(かな?)のハープサルの教師となり、子どもたちは苦手と言いつつも、フェンシングを教えることで信頼関係を気づき、レニングラードで開かれる大会で逆境を跳ね返し勝利するという物語です。エンデルにとって、レニングラードへ行くということは自らが捕まることを意味しており、そのあたりの葛藤と、ハープサルで親しくなったカドリとの恋愛も描かれていきます。

と、かなりの感動ものを想像させますが、かなり抑えて描かれており、むしろ淡々という表現があうようなつくりで、やや物足りないくらいです。

映画のクライマックスとなっているフェンシングの大会にしても、いくらでも盛り上げられる勝利の瞬間も、なぜか不思議な静寂に演出されており、きっと過度な演出を避けようとの意図なんでしょう。

子どもたちがいいですね。特に、エンデルが自分の過去に思いを馳せるかのようにひとり壁に向かってフェンシングをしている時に、何をしているの?と尋ねてくるマルタ(リーサ・コッペル)、堂々として力強いですし、目ぢからがあります。俳優向きです。

働き盛りともいうべき40代、50代の大人がほとんど出てきません。男たちは秘密警察に捕まり、女たちが働きに出ているというような台詞がありましたし、PTAのような大人たちが集まっての集会のようなシーンがありましたが、皆高齢者でした。実際にどうであったのかは想像もできませんが、暗く重々しい時代だったのでしょう。

まあ何はともかく、それなりのハッピーエンドで2016年を終わることができました。

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