面白いです(笑)。
面白かったです。
ただ、「もっと音楽きかせろタコ!」とは思いましたが(笑)。
正直、苦手なジャンルなんだけどなあと、やや引きつつ見に行ったのですが、冒頭の10分くらいで心配も吹っ飛びました。ただ逆に、大丈夫か!? このハイテンションで最後まで持つか? との心配が生まれましたけど(笑)。
これ、三木聡監督のオリジナル脚本なんですね。漫画の原作でもあるのかと思ってみていました。本人の小説版はあるようです。
音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!! (角川文庫)
- 作者: 三木聡
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/01/25
- メディア: 文庫
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ただ、この映画の面白さは、物語ではなく、クラシカルなギャグと俳優たちのノリとアナログなカメラワークを、それぞれが迷いなくやりきっているところですので、小説版なんて面白いんだろうかとは思いますけどね(笑)。
物語自体はかなりセンチメンタルなもので、基本、子どもの頃のトラウマありのラブスストーリー、トーンは青春ものといった感じです。
「4オクターブの音域とすべての人を虜にする声量をもつ世界的カリスマロックスター・シン」のライブから始まります。
と、ここでいきなりツッコミ入れておきますと、阿部サダヲでこれをどうやって表現するんだ? とちょっと期待したんですが、そんなシーンはありません(笑)。このカリスマロックスターは歌いません(笑)。かなりアナログにムニョムニョしていました。
シン(阿部サダヲ)の登場前からライブ会場はハイテンションです。シンの声は声帯ドーピングで得られているものです。シンは喉に注射を打ち会場へ向かいます。いきなりのシャウト、そしてシンは口から血を吹き出しぶっ倒れます。
もう一方のふうか(吉岡里帆)はストリートミュージシャン、バンドのボーカルとして路上ライブ中です。しかし、ふうかの声はあまりに小さく、集まっていた聴衆もぱらぱらと立ち去っていきます。そして、バンドのメンバーにも見捨てられ、アコギ一本のソロでやっていくしかありません。
ここでもちょっとツッコミ、ふうかの声、そんなに小さくないじゃん(笑)。
で、そんな二人が出会います。
とにかくここまで、カメラまでもが、動くわ動くわのハイテンション、編集もかなり細かく刻まれて軽快なテンポで進みます。
終盤は、やや疲れが出たのか、物語に執着し始めたのか、テンポが落ちてきますが、それまではかなり頑張っています。特にふうかを取り巻くキャラが映画を引っ張ります。
公式サイトをみれば分かる通り、出てくるやつは皆奇妙なやつばかりです。まともなのは、シンとふうかくらいなものです。
ふうかの叔母のデビルおばさんとザッパおじさんが絡むギャグは、かなりオーソドックスなボケとツッコミパターンで、これが嫌味なく、結構いけます。
その他、いろいろクセのあるキャラが出てきますが、言葉で書いてもあまり意味がありませんので省略です。
で、物語は、特に大したことは起きなく(笑)、いやいや、物語は大したことはなくても映画はいろいろなことが起きて、結局、シンとふうかは喉の手術をするために釜山に向かいます。二人が訪ねた先は、どういうことなのかはよくわかりませんが、ふうかが子どもの頃に暮らしていた、どこかコミュニティを思わせる変な集団が暮らす花火工場です。何でしょうね、アレ(笑)。でも、そんなこと気になりません。そもそも荒唐無稽な話ですから。
シンは日本を発つ前にコンサートをドタキャンし、その筋の人たちから追われています。
その筋の人たちが釜山まで追っかけてきます。シンは花火を手榴弾のように使って追手をやっつけます。でも、警察に捕まります。
シンが警察に車で連行される時、ふうかはその後を追いかけます。窓を開けたシンは追いかけてきたふうかにキスをします。車のシン、キスをしながら走るふうか、かなり長いシーンでした。笑ってしまうようなシーンですが、え? これ、ラブストーリーだったんだとわかった瞬間です(笑)。
で、何ヶ月か、何年かわかりませんが、ふうかは心の底から声を発することできるようになっており、今やスーパースターです。
ふうかの声が小さいことの理由は特に語られていませんが、自信がないこと(そうは見えなかったけど、そんなことはどうでもいい物語ということ)と、自分に言い訳を作ってそれに甘えているキャラとの設定で、その殻をシンとの出会い、そして、釜山で、シンが自分は捕まってもいいから、ふうかに心の底から叫ばせるための行動を取ることで、打ち破らせていました。
シンは釜山の刑務所で服役しています。
ふうかは、対馬でコンサートを行います。対馬なら釜山に聞こえるのではないかということです。これには釜山へ向かうシーンで伏線が張ってありました。
刑務所のシンは何かを感じたのでしょう。塀に向かって走ります。
ふうかのライブが始まります。
シンは、ふうかの声を受けるように両手を広げます。
監視塔から一発の銃声。
風化は歌います。
シン&ふうか 『体の芯からまだ燃えているんだ』Music Video
「もっと音楽きかせろタコ!」
子どもの頃のトラウマ話を忘れています。きっちり描かれていませんのではっきりしませんが、こういうことかと思います。
シンには妹がいます。父親はDV男です。シンと妹はよく歌を歌っていますが、母親は父親の暴力を恐れ、二人の口をふさぎます。ある時、母親は父親を殺します。妹はショックから声が出なくなります。シンも小さな声でしか話せなくなります。シンは声帯ドーピングに頼るようになります。
こういうことかとは思いますが、間違っているかもしれません。
いずれにしても、もっと音楽を使ってほしかったことと、できれば最後までおバカを通してほしかったとは思いますが、苦手なジャンルであるにもかかわらず、楽しめる映画でした。