バーバラと心の巨人

やはり大人の鑑賞にはちょっと無理

迷いに迷って見に行った映画です(笑)。何に迷ったかと言いますと、映画の内容はざっと紹介文を読めばおおよそ想像できてしまいますし、やや子供向けかなと思ったのですが、監督のアンダース・ウォルターさんが2014年のアカデミー賞で短編実写映画賞を受賞していること、そして、公式サイトのプロデューサー(クリス・コロンバス)紹介で「パティ・ケイク$」が目についてしまったからです。

要は、初の長編映画ということで期待を込めて見に行ったということです。

公式サイト / 監督:アンダース・ウォルター

んー、ちょっとばかり、大人の鑑賞には難しいですね。

内容は、やはり想像通りで、見た目中学生くらいのバーバラには他の人にはみえない巨人が見えるらしく、いつかその巨人が襲ってくると信じて、森や浜辺に餌を置いたり、(何のかわからない)仕掛けをしたりしています。

いきなり、話をぶっちゃけるようなツッコミをしていしまいますと、バーバラは、別に他人に迷惑をかけているわけでもなく、ひとり遊び(ではないんだけど)しているだけなんだから置いておけばいいんじゃないの、せいぜい上の画像のようにウサギの耳をつけていたり、巨人の絵ばかりを書いているだけでしょう、それに巨人が襲ってくるからといって、他人になにかしなさいとか、仲間を集めようしているわけではなければ、そもそもバーバラには巨人が見えていることは誰にもわからないんじゃないの、と思うんですけどね。

何を言いたいかといいますと、ラストのオチから考えますと、バーバラに巨人が見えるようになったことにははっきりした理由があり、それはおそらく周りの者、具体的には、第一に姉カレンにはわかっているはずですし、カレンを通じて、学校やカウンセラーのモル先生にしても知ろうとすればすぐに分かるはずなのに、映画はそれらに触れることなく、その理由をオチとして物語を作っているから映画が深まらないということです。

バーバラは、姉カレンと兄(弟?)と暮らしています。カレンは働いて一家を支えているらしく、両親のことは最後まで一切語られません。

映画も中頃になれば、バーバラが巨人をみるようになった理由は親絡みだなと分ってきます。バーバラが巨人退治の聖剣のようなものにフィラデルフィア・フィリーズ(だったかな?)の選手の名前をつけていましたので、父親絡みの理由かなと思っていましたが、母親の方でした。

いつのことだかよくわかりませんが、母親は不治の病(ということだと思う)に冒されたらしく、バーバラにはその現実が受け入れられなく、巨人が母親を奪いに来るという妄想にとらわれて現実から逃避しているということです。

母親は家の二階で療養しています。映画の途中、バーバラが二階を恐れるシーンがありましたが、理由はそういうことだったのです。

余計なことですが、映画の作り方を間違えているといいますか、厳しい言い方をしますと、観客はこの程度の物語で喜ぶんだと馬鹿にしていますね。母親の病のことも明かした上で、バーバラの悲しみや不安、そしてそれに立ち向かっていく姿を描かなきゃ感動なんて生まれませんし、そもそも映画にならんでしょう。

結局、母親は亡くなり、バーバラもすっかり憑き物が落ちたかのようになって終わっていました。もちろん映画ですから、バーバラが巨人と戦うところなどあれこれいろいろありますが、特別見るべきシーンはありません。

ところで、Anders Walter さんの vimeo に「I Kill Giants – Sizzle final」という一部キャスティングも違うのではと思える、映画とは雰囲気の違う動画があるのです、これ何なんでしょう? 売り込み用のプロモーション動画なんでしょうか?

主役は同一人物だと思いますが、映画よりも幼いですね。制作が決定した時には大きくなっちゃったんですかね。この動画のほうが映画より面白そうにみえます。

話の内容としては、バーバラを小学生低学年くらいの年齢設定にしないと違和感が強すぎますね。

ということで、ベルリンのジェネレーションKplus に出品するべきという映画でした。