宵闇真珠

アンジェラ・ユンも宵闇真珠のタイトルもいいんだけどね…

この映画、その内容や出来不出来よりも、どういう経緯でこの映画ができたのかの方に興味がいっちゃいますね。

宵闇真珠

公式サイト / ジェニー・シュン、クリストファー・ドイル

と言いますのは、まあ、映画の出来自体はよろしくないんですが、クリストファー・ドイルさんが監督としてクレジットされていることやオダギリジョーさんが、おそらく拘束期間やスケジュールの都合なんでしょう、まるで映画に溶け込んでいないことなど、それに、配給だけではなく(多分)製作にもキノフィルムズが名を連ねていることにも興味をそそられます。

オダギリジョーが長編劇映画を初監督 撮影はクリストファー・ドイル : 映画ニュース – 映画.com

それはともかく、主役のアンジェラ・ユンさん、神秘的な雰囲気で魅力的です。

香港の俳優さんであまり情報はないのですが、1993年生まれですから25歳くらい、俳優としての経験はほとんどなさそうで、モデルとしてシャネルやシュウ・ウエムラのアンバサダー(具体的にどういう意味だ?)として活躍とあります。

インタビュー動画や画像をいくつかみてみたんですが、映画の印象とはずいぶん違って童顔の可愛い感じです。

映画では、演技どうこうの撮り方がされておらず、ほとんど薄手のランジェリー姿(部屋着という意味)で登場していました。エロさを売りにした映画ではありませんが、当然ながら意識して作られてはいますわね。日本向けに売り出そうという力がどこかで働いているのかもしれません。

物語は、よくわかりません(笑)。中ほどまで忍耐が必要です。何をやろうとしているのわからないという意味です。

で、後半に入り、こういうことなのかなとわかったところによりますと、香港の港町、珠明村が舞台です。ググってもこの映画がヒットしてしまうので実在の村かどうかわかりません。GoogleMap ですと肉屋さんらしき会社がヒットするんですけどね。

時代に取り残されたような古びた印象の漁村です。16歳(らしい)の少女がいます。父親は漁師で、船上ではなかったようですが、水上生活をしています。日光に弱く、昼間は帽子、サングラス、雨合羽のようなコート、長靴で生活しており、学校ではそのことでいじめられるシーンがありました。

母親は亡くなっているのか、都会へ出ていってしまったのか、よくわかりません。写真が飾られて(供えられて)いましたので、亡くなったことになっているんでしょう。準ミス香港だったらしく、その後歌手もしていたようでもあり、あまりはっきりしません。

これはわざとそうしてあるんだと思いますが、少女(名前はなかった?)のその村を出たいという脱出願望の一つの対象として設定されていたんだと思います。

そして、オダギリジョーさんです。そうした少女たちの世界とは全く無関係に突然登場し、丘の上の廃墟に住み始めます。こちらにはサカモトという名前がついているようです。

前半、このサカモトのシーンと少女のシーンの関係がなかなかつかみきれません。忍耐が必要です。私は、時代が違うか次元が違うんだろうと思って、どう違うかいつか明かされるんだろうとじっと耐えていました(笑)。

同時代、同次元でした。ふらりとやってきた異邦人らしいです。少女は昼間で歩けない分(いやいや結構出てたよ)、夜ひとりで海辺に出たりします。それもランジェリー姿で。そこでサカモトに会います。

ふたりの関係が特に発展することはなく、特別少女がサカモトに(恋愛という意味ではなく)惹かれている感じはしなかったのですが、公式サイトによりますと、

陽に当たることのできない少女、
どこからともなくやってきた異邦人の男。
それは、本当の居場所、本当の自分に気づかせてくれた
唯一無二の出会い。

だったようです。

で、確かラスト近くでサカモトが少女に「私は君自身だ」みたいなことを言っていましたし、鏡が多用されていましたので、おそらくやりたかったことは、サカモトもまた少女の脱出願望の対象という存在だったのでしょう。

こう書いているわけですから、映画としてそうは感じられなかったということなんですが、言ってみれば、そもそもオダギリジョーさんにふらっとやってきていつどこへ行ってしまうかのような旅人的存在感はないと思います。彼の目は遠くを見ていません。

映画にはもうひとつ物語が進行しています。村長が村の開発計画で一儲けしようと(多分)大陸から北京語を話す開発業者を連れてきています。その計画の邪魔になるのが例の廃墟で、文化遺産的な登録がされているので壊せないというようなことを言っていました。

このことでサカモトと村の出来事を絡ませようとしたんだと思いますが、ほとんどうまくいっていませんでしたね。結局どうなったかも曖昧なまま終わっていました(と思います)。

ということで、何だかもったいない映画でした。実在の村かどうかわかりませんが、映像的にはいいロケーションでしたし、アンジェラ・ユンさんの神秘的な、と言いますか、あれはモデル顔やモデル立ちからきている雰囲気なんでしょうが、それを生かしてもっといい映画ができたんじゃないかと思います。

もうひとりの監督、ジェニー・シュンさん、年齢はわかりませんが、2015年からの活動記録がありますからまだ20代かもしれません。映画作りのスタートはジェニー・シュン監督からのものかもしれません。クリストファー・ドイルが監督としてどう関わったのかわかりませんが、結果として成功はしていません。もし、撮影監督としてではなく、監督として力を借りようとしたのであればダメですね、それがこういう結果になったんだと思います。

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