そんなには褒めないよ。映画評

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光と血

(DVD)不幸物語オンパレードをDVDで見るのはつらい

2020/03/19

「新聞記者」を見たときに、プロデューサーの河村光庸さんが映画化にあたってこの人ならと監督をオファーをしたのが藤井道人さんであり、その藤井さんは「政治も勉強したことがないし、自分で新聞も取ったことがなかった(HUFFPOST)」などと最初は断ったという記事を読み、どんな映画を撮る人なんだろうと興味を持って見た映画です。

光と血

光と血/ 監督:藤井道人

DVDで見る映画ではありませんでした。

劇場で見ればまた違ったかもしれませんが、こうした脈絡のない不幸物語オンパレードをDVDで見てもつらいだけです。それにタイトルからしてもっとハードな内容かと思いましたがまったく逆の癒やし系でした。

いじめ、レイプ、通り魔殺人、過失からの交通事故、そうした悲劇の加害者と被害者が、結果として、それぞれ友人であるとか、父娘であるとか、救われたり救ったりするとか、それぞれが関係しているという映画です。

その関係はほとんど偶然性にもとづいています。

悲劇は描かれますが、その元となる悪意が描かれることはありません。女子高生をいじめる同級生はあくまでも名もない匿名です。婚約し幸せいっぱいの女性を刺し殺した顔の見えない通り魔は後にテレビで逮捕されたと報じられるだけです。

悲劇は描かれますが、過失を犯した者は後悔の念に苛まれます。交通事故で人を轢き殺してしまった男、助手席にいてその原因をつくってしまった男、いじめを知りながら見て見ぬ振りをしていた教師、皆悔やんでも悔やみきれない情を顕にしています。

唯一、女子高生をレイプした男だけが名のある役として登場しますが、それさえ、ラスト、そうだったの? と物語のオチ的に使われるだけです。レイプという悪意なくしてはできない犯罪も計画性のない突発的な犯罪のように描かれています。さらにその男は通り魔事件で恋人を失った男に優しさの手を差し伸べているのです。

そして最後はそれぞれの優しさがそれぞれの苦しみを癒やしているとして終わります。 

犯罪そのものや悪意を描こうとはしているわけではないようで、それはそれでいいのでしょうが、すべて何もなかったかのように優しさが苦しみを癒やすと言われてもと、どことなく居心地の悪さを感じてしまいます。ただ、これはあくまでも見る側(私)の問題でしょう。

映画のつくりとしては群像劇を目指しているようですが、それぞれの人間関係に深みがなく必然性がありません。編集もぶつ切れで、DVDですと、これ誰だっけ? ということが頻繁におきます。

多くの人が登場してそれぞれが絡んでいるからといって群像劇にはならないということだと思います。

光と血

光と血

  • 発売日: 2018/11/14
  • メディア: Prime Video
 
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