クリステン・スチュワートにはアメリカンローカルの空気は合わないように思う…
クリステン・スチュワートさん目当てです。私には「スペンサー ダイアナの決意」以来ですが、その後にデヴィッド・クローネンバーグ監督の「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」に出ているようです。ボディホラー SF みたいな映画でしたので見ていないです。
この「愛はステロイド」は、レズビアン・ボディビルディング・エロティック・バイオレンス・スリラーみたいな映画です(笑)。
- 暴力性、閉鎖性というアメリカイメージ…
- まずは、第一幕 家族の人物紹介から…
- ステロイドがてんやわんの引き金を引く…
- 後半はスリラー風てんやわんやへ…
- 第三幕さらにてんやわんやの解決編へ…
- クリステン・スチュワート…

暴力性、閉鎖性というアメリカイメージ…
ボディビルディングを除けば全体としては既視感のある話です。
時代設定は1989年、ラジオでしたか、ベルリンの壁のことを報じていました。場所はルーが暮らすのはニューメキシコ州の田舎町、ボディビルダーのジャッキーはオクラホマからラスベガスで行われるボディビルディング大会を目指していると言っていました。
この基本設定について、ローズ・グラス監督はインタビュー記事で、女性ボディビルダーが主人公の話が面白いんじゃないから始まり、場所設定については殺人事件も多いし、その暴力性や閉鎖性からアメリカが一番しっくりきたと語っています。当初はスコットランドも候補に上がっていたらしいです。
それにしても、アメリカは殺人事件が多いというイメージは世界共通なんですね。まあ銃社会ですからそうなるんでしょう。アメリカ西部の田舎町というのもこの内容なら正解でしょう。
時代設定を1989年としているのは、多分その頃に女性のボディビルディングが盛り上がっていたからではないかと思います。ミズ・オリンピア(Ms. Olympia)、その頃はミス・オリンピア(Miss Olympia)ですが、1980年から大会が始まっているらしいです。
この大会が最も権威あるものらしいです。ただ当時の開催地はラスベガスではなさそうですのでジャッキーが出場したのはこの大会という設定ではないのでしょう。
まずは、第一幕 家族の人物紹介から…
という基本設定で、物語です。
ひとことで言えば家庭内確執物語です。
トレーニングジムで働くルー(クリステン・スチュワート)、父親(エド・ハリス)、ルーの姉ベス(ジェナ・マローン)、その夫 JJ(デイヴ・フランコ)の家族です。
そして、その前にボディビルダー ジャッキー(ケイティ・オブライエン)が現れ、ルーとジャッキーが恋に落ちることでそれまでかろうじて均衡が保たれていた家族にほころびが生まれるという話です。そのほころびが殺人となり、てんやわんやの事態になります。
てんやわんやなんて言いますとコメディみたいですが、後半になって矢継ぎ早に起きる殺人を含めたバイオレンスシーンは笑えはしませんがコメディ的展開です。
ニューメキシコ州の田舎町、ルーはトレーニングジムで働いています。最初のシーンは、ルーが詰まった便器に手を突っ込んでいるシーンで、その後水を流しますと溜まった汚物がボコボコと流れていきます。
薄汚れた感じや猥雑さを出そうとしているんだと思います。始まってしばらくの動き回るカメラワークや後に登場するルーの父親の人物造形も同じ狙いだと思いますが、映画全体としてはすっきりしてきれいな印象です。ルーの人物像は気だるそうで仕事も適当という感じで、後にはこの街を出たことがないという台詞もありますが、クリステン・スチュワートさんの持っているイメージからはそれは出てこないです。後半になりますと判断も早く切れのいい行動をしますのでそれはよくあっていました。
冒頭のトイレのシーンでは、後半になって殺されるためにだけに(ゴメン…)再登場するデイジー(アンナ・バリシニコフ)がルーにしつこく迫ってきます。ルーがレズビアンであり、関係があったことを見せています。
シーン変わって、ジャッキーと男が車の中でセックスをしています。男はジャッキーに仕事の世話をすることと引き換えに性行為を求めたようです。
シーンの前後が間違っているかもしれませんが、翌朝、ルーは甥っ子姪っ子たちを学校へ送るために姉ベスの家に向かいます。ベスの夫 JJ はジャッキーとセックスをしていた男です。もちろんルーは知りませんので、これが後にてんやわんやの引き金になります。また、このシーンではベスが JJ を恐れて言うなりであることも見せています。
続いて、JJ がジャッキーを射撃場に連れて行きそのオーナーの男に紹介します。その男は見た目の上でもちょっと危なそうという造形がされており、JJ も恐れているようです。後にわかりますが、ルーの父親であり、JJ の義理の父ということになります。トレーニングジムも父親のものです。
という人物紹介が終わり、その後しばらくはルーとジャッキーが愛し合うようになるシーンが続きます。
その中でジャッキーがボディビルディングの大会に出るためにラスベガスへ行くつもりであることやオクラホマ出身でそこでは居づらいことなどを語り、ルーは自分の住まいにずっといていいと言い、筋肉増強ステロイドをジャッキーに勧めます。ジャッキーは最初は自然派だと断りますが、試しに1本となり、その後は打ちまくります。この打ちまくりが後にコメディタッチに使われます(笑)。
と、ここまでが前半です。まあ第一幕「設定」ということになります。
ステロイドがてんやわんの引き金を引く…
第二幕は、ルーとジャッキー、ベスと JJ、4人のダイナーでのディナーで始まります。
JJ がベスに当たり散らし席を立っていきます。見かねたルーが後を追い、脅します。もちろんベスを気遣ってのことですが、強く出られる裏には自分の後ろには父親がいることが染み付いているのだと思います。表立っては父親とは縁を切っているようなことを言っていてもです。終盤にルーと父親との関係が語られます(少しだけですが…)。
JJ が反撃に出ます。もちろんルーとジャッキーが付き合っていることをわかってのことで、ジャッキーを父親の射撃場に紹介したのは自分であり、それと引き換えにジャッキーは自分と寝たと告げます。
その夜、ルーはジャッキーを責めます。しかし、すでにルーにとってジャッキーはなくてはならない存在になっており、また、ジャッキーがバイセクシュアルであると言い、あなたに会う前だよとの言葉にそれ以上非難することもできず、結局二人はその日も愛し合うことになります。
そして翌朝(多分…)、ベスが入院したと電話が入ります。JJ の暴力です。病院に駆けつけますとベスの顔は腫れ上がり危篤状態です。父親も駆けつけ、ルーに自分が対処すると言っています。
しかし、ことは大きく動きます。映画的にはかなり唐突ですが、ジャッキーが JJ の家を訪ねて殴り殺します。
そのシーン、ジャッキーが打ちまくったステロイド(アナボリックステロイド)で興奮状態となっているとして、さらにジャッキーの筋肉がモリモリモリっと、バキバキバキっとなるカットを入れて、ジャッキー自身も巨大化して JJ を撲殺するシーンで描いています。
コメディと書いたのはこのことで、なぜこんなシーンにしたのかはよくわかりません。ラストにも再び同じシーンが出てきます。巨大化させないと男には勝てないという意味なんでしょうかね。どういう理由であれ、違和感を感じます。
ということでこれからはてんやわんやの第二幕の第二弾が始まります。ルーと父親の関係が明らかになるということです。
後半はスリラー風てんやわんやへ…
ジャッキーが JJ を撲殺した(顔がホラー風に変形していた…)ことを知ったルーは、即座に自分に任せてと言い、こういうときはどうすればいいかを知っているかのように、実は経験上知っているということなんですが、JJ の死体を JJ の車に積み、ジャッキーには自分の車でついてきてと言い、JJ の車にガソリンをかけて崖から突き落として火を放ちます。
ルーは立ち上る煙を見ながら、これで自分たちではない別の人物が調べられると言います。
と、すべてうまくいくはずだったんですが、崖に向かう途中でしつこく付き纏っていたデイジーに会ってしまい、その場を逃れるために後日会うことを約束させられます。
また、ジャッキーが大会に出るためにラスベガスへ行くと言い始め、今はダメというルーと言い争いになり、結局ジャッキーは一人でラスベガスに向かいます。
ジャッキーにとってはルーとの愛よりもボディビルディングということのようです。
しかし、ジャッキーにとっても大会は散々で、演技中にステロイド打ちまくりのせいもあるのでしょう、自分の中からルーを吐き出す幻覚に襲われ実際に吐いてしまいます。その後、揶揄する出場者への暴行で逮捕されてしまいます。
このシーンと言い、JJ の破壊された顔と言い、ローズ・グラス監督はボディホラー系の映画を撮る監督なんでしょうか。
前作の「セイント・モード/狂信」のウィキペディアには「ボディホラーとサイコスリラーを見事にブレンドした一作」との記述もありますね。
好みではありませんが見てみようかな。
第三幕さらにてんやわんやの解決編へ…
終盤は一気に第三幕「解決」に向かいます。
ジャッキーがボディビルディング大会に出場している頃、ルーはデイジーに脅されて関係を持ちます。
一方、ジャッキーは1本だけ許されている電話でルーに電話して保釈金を頼もうとしますがつながりません。しかし、なぜかルーの父親が保釈金を出してくれます。
これはウィキペディアのプロットを読みますと、デイジーがジャッキーからの電話を傍受してルーの父親に頼んだことになっています。私が見落としたのかもしれません。ただ、デイジーがジャッキーの保釈を願う理由なんてありません。どういうことでしょう。
とにかくてんやわんやは続き、釈放されたジャッキーはルーの父親に命じられてデイジーを撃ち殺します。
この後はもうごちゃごちゃしていてうまく整理できません。デイジーが殺されたのはルーの家ですのでルーが死体を始末しようとしているところに FBI の捜査官が来たり、崖の下から JJ の死体が発見されるとともに他の多くの白骨化した死体が見つかったり、JJ の死を知ったベスが泣き叫んでルーに当たり散らし「あなたには愛というものがわかっていない!」と責め立てたり、ルーの父親の手下として働いていた保安官がルーを殺しに来てルーが足を撃たれたり、いや、ルーの足を撃ったのはその後のシーンの父親だったような気もしてきました。
そうですね、その危機を救ったのはまたもジョーク展開のジャッキー巨人化です。このシーンのジャッキーはもうガリバーくらいに巨大化していました(笑)。
あまり詳しくは語られませんが、ルーの父親は町の影のボスであり、保安官を買収して様々な悪事を働いてきており、ルーはその片腕として動いていたんだと思います。後半の手慣れた死体処理作業はそういうことなんだろうと思います。母親も父親が殺したのではないかということがあり、あるいはそれが父親との断絶の理由かもしれません。多分相当カットされているのでしょう。
ということで、ルーとジャッキーはその町を去る決意をし車で出発します。途中、ルーは荷台(車はピックアップ…)の音に気づき、眠っているジャッキーをそのままにして荷台を見ますと積んでいることも忘れていた(多分…)デイジーにまだ息があることを知り首を絞めて殺し、引きずり下ろし、引きずって荒野に捨てに行きます。
車にはジャッキーが心地よさそうに眠っています。遠くの荒野でルーがぼんやりと遠くを見つめています。足元にはカーペットにくるまれたデイジーの死体があります。
シュールなアメリカンローカルのワンシーンです。
クリステン・スチュワート…
それなりに面白い映画だったんですが、こういうアメリカンローカルの話にはクリステン・スチュワートさんは合わないです。見た目がシャープですからね。
「トワイライト」ですでに印象づいて記憶していますのでもう40歳くらいになっているのかなあと思いましたら1990年生まれの35歳でした。
「アクトレス ~女たちの舞台~」「エージェント・ウルトラ」「パーソナル・ショッパー」「ふたりの J・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏」「スペンサー ダイアナの決意」と見ていますが、どの映画もちゃんと持っていきますね。
スター性のある俳優ということです。