熱のあとに

これも愛 あれも愛 たぶん愛 きっと愛…

映画.com に「東京藝術大学大学院での修了制作「小さな声で囁いて」で注目された若手監督・山本英の商業映画デビュー作」とあったのと橋本愛さんの映画をしっかり見たことがないなあと思い見てみました。

熱のあとに / 監督:山本英

不思議な映画…

映画の内容が不思議なわけではありません。いや、結果として映画が不思議なんですけど(笑)、それ以前になぜこの映画が制作にまでこぎつけたのか不思議ということです。

企画会議とかシナリオの検討会議とかやらないんでしょうか。そんなわけはないと思いますので、これでゴーとなったんでしょうかね…。

この映画がシナリオ通りでしたらシナリオがダメですし、そうでなければ監督がダメです。

橋本愛さん、仲野太賀さん、演じるのはかなりつらかったんじゃないかと思います。人物像がシーンごとに変わっちゃっています。いや、人間、ときや時間が経てば変わりますので変わるのはいいんですが、シーンが変わるごとにコロコロ変わった日にゃついていけません。

このシーンでは怒って、このシーンでは泣いてと言われて、その通りやらされているような映画です。

それにロケーションとかどういう設定なんでしょう。時間経過はどうなっているんでしょう。

沙苗(橋本愛)と健太(仲野太賀)はどこで見合いしてどこで暮らして、よしこ(木竜麻生)はリンゴの有機栽培(だったか…)を始めるとか言っていたと思いましたら、次のカットではいきなり収穫時に猿に食われたとか、いくらなんでもどうよ(涙)。

ということで、なにをおいてもまず映画になっていません。

ネタバレあらすじを書いておこう…

そうではあるのですが、後々一体なにに怒ったのか(笑)思い出せるように少し書き残しておこうと思います。

「新宿ホスト殺人未遂事件」というものがあったらしいのですが、それにインスパイアされて出来上がった映画だそうです。

沙苗(橋本愛)がホスト隼人を殺したシーンから始まります。まずこれがよくわからないのですが、沙苗が非常階段を駆け下りて(あれ、違ったか…)マンションかビルのエントランスまで下りますと男が血を流して倒れています。

どういう流れなんでしょうね。いつ刺したの? 刺してからどっかへ行ってたの? 私が見間違えていますかね。

そして、とにかく6年後、沙苗と健太(仲野太賀)のお見合いです。健太は友人の身代わりで来たらしいです。その友人は付き合っている女性にお見合いしたら殺すと言われたらしいです。なぜこんな笑えもしない小ネタを入れる? と言い始めたらきりがありません(笑)。

ふたりは結婚します。刺したホストは死んでいなかったらしく沙苗は何年か服役して出所したそうです。健太はすべてを知っています。健太は森林組合で働いています。東京からさほど離れていないような感じでしたがどこの設定なんでしょう。あまり考えられていないようには思います。

沙苗は歌舞伎町がよく見える(らしい…)精神科医(木野花)に通院しています。木野花さんもつらそうでした。台詞が専門家のものではなく素人がただ話を聞いているようなものなんです。

よしこ(木竜麻生)が登場します。意図して沙苗に近づくために引っ越してきたような感じですが、これもよくわかりません。よしこは沙苗に自分はホスト隼人の妻であり4歳の息子がいると言います。隼人は行方知れずになっているらしいです。

ということで3人が揃ったところで、あれこれ辻褄の合わない、流れのない、断片的なシーンが続きます。沙苗が自殺しようとしたり、よしこが猟銃をぶっ放したり、健太が同僚たちとの飲み会(沙苗と別れたとか言っていた…)で隣の客にいきなりキレたり、よしこが隼人と別れたと言い3人で隼人の靴を燃やしたり、さらにその後、新たな女が登場し健太とキスをして心中を図ったりします。

沙苗が隼人とプラネタリウムで会います。よくわかんないけど沙苗はやっと吹っ切れたようです。

どういう経緯でそうなったかは忘れましたが、沙苗と健太が元さやに戻っています。車の中でふたりが60秒(違ったか…)見つめ合っています。

このラストシーンは、かなり早い段階で健太が、自分は戦争のことはよくわからないけれど、世界を平和にするいいことを思いついた、世界中のリーダーを集めて一対一で60秒だけ見つめ合わせてそれを順繰りに続けていけばいいと思うと沙苗に話していたのです。

これも愛 あれも愛 たぶん愛 きっと愛…

というまったく整理されていないストーリーの映画です。

おそらくテーマは愛とはなにかということだと思いますが、愛を言葉で語ることがいかに不毛であるかということは、ある程度経験を積まないと(笑)わからないということがとてもよくわかる映画であるという意味においては、まったく不毛な映画とも言えないかも知れないと思う映画ではあります。

こうした映画を見ると必ず浮かんでくる曲があります。この曲を聞いて愛とは何かに浸ってください(笑)。

※スマートフォンの場合は2度押しが必要です

愛を描くのであれば水中に潜らないとダメでしょう。

ふざけてゴメン…。