いきなり出だしで引いてしまいました(笑)。奴隷(に見えたのですが、もちろんジャン・バルジャンなどの囚人)たちが難破船をロープで引き上げるこけおどしのスペクタクルCG!何とそこにラッセル・クロウ! 映画を間違えたかと思いました(笑)。
平日の昼間にもかかわらず満席でした!
ですが、やっぱりミュージカル「レ・ミゼラブル」は映画向きじゃないですね。生の熱がないとなんだか気が抜けたような感じです。それに、あまりにもドラマがあり過ぎてかえって平板になってます。山が多すぎて全て小山に見えるって感じでしょうか。
「その夜の侍/赤堀雅秋監督」でも書きましたが、そこに生身の人間がいるといないでは決定的な違いがあります。この映画では生歌で撮影しているとのことですが、そのことと舞台の生歌とは次元が違います。揚げ足を取るようですが、フィルムに収められている以上録音です。
まあ、「生歌」を強調するというのは宣伝手段だとは思いますが、何も舞台の再現を映画で見たいわけではないですし、すでに映像的にはCGなどのデジタル技術を使わない映画の方が少ないこの時代、当然音響的にも後処理をしているわけですから、それほど重要なこととも思えません。
相当ひねくれた考えに思われそうですが、別に「生歌」どうこうに引っかかっているわけではなく、舞台の再現ではなく、映画的リズムで構成された「レ・ミゼラブル」を見たかったと言いたいだけです。この映画はこの映画で飽きずに見られたことには間違いありません。