2012年のアカデミー外国語映画賞スペイン代表になった作品です。アルモドバル監督の「私が、生きる肌」をおさえて代表になったとの宣伝文句があったと記憶しており、気にはなっていたのですが、見逃した映画です。
ところで、アカデミー外国語映画賞というのはどういう賞なのだろうとあらためて調べてみたのですが、ウィキによると(何でもかんでもウィキペディアでいいのでしょうか?笑)、各国から一作品だけノミネートされ、五作品が本選考に残り、最終的に一作品が受賞するらしく、日本の場合は、社団法人日本映画製作者連盟が日本代表として一作品を選考(かな?)しているんですね。
で、「ブラック・ブレッド」。こうした重厚な雰囲気のものは結構趣味なんですが、次から次へと追いかけるべきものが変わっていくようなつくりで、終わってみれば、「で、結局何?」みたいな、とらえどころない映画でした。
興味のある方は、ウィキのストーリーがかなり詳しく書かれていますのでそちらを読んでいただく方がいいのですが、冒頭の殺人事件でいわくありげに登場する「ピトルリウア」や父親の実家付近で出会う裸で森を駆け回る青年の存在を曖昧にすましてしまうのはどうかと思いますね。
やはり、物語の軸となっているマルセル(=ピトルリウア)とマヌベンス夫人の弟ペレとの関係に対する迫害(?)をもっと前面に出し、それに象徴される狭いムラ社会的人間関係から巣立っていくアンドレウみたいな展開がいいように思いますがどうなんでしょう…? それにスペインの内戦後の勝者敗者の人間関係が中途半端に語られるだけでうまく生かされていないのが残念ですね。
1940年代のカタルーニャ。11歳の少年アンドレウ(フランセスク・コロメール)は、森の奥深くで息絶える幼なじみとその父を目の当たりにする。そのとき、幼なじみが森の洞窟(どうくつ)に潜むとされる羽を持った怪物ピトルリウアの名を口にしたのを耳にする。やがて、警察は事件を殺人と断定し、アンドレウの父ファリオル(ロジェール・カサマジョール)を第一容疑者として挙げる。ファリオルが姿を消し、母親も働かねばならないことから、アンドレウは祖母の家に引き取られることに。そんなある日、森の中で怪物ピトルリウアのように全裸で走り回る青年と遭遇するが……。(シネマトゥデイ)