「その男、凶暴につき」に続き、「HANA-BI」と「キッズ・リターン」です。やはり、見る時代によって、というより自分の年齢でしょうか、随分印象が違います。
公開時と同じように、今でも、俳優ビートたけしの、つまり監督北野武がフィルムにおさめたいと考えている「過剰に演出された寡黙さ」に、私は拒否反応を起こすのですが、それでも、たとえば西佳敬(ビートたけし)を他の俳優がやっていれば、相当にこの映画を評価しているでしょう。
「HANA-BI」は、北野武監督自身が描いたという絵画や全編に流れる切なさに現れる北野武監督の持つニヒリズム的世界観がよく分かる映画です。
「キッズ・リターン」も青春映画の括りになるのでしょうが、全体に流れるトーンは同じです。ただ、公開時にはいい映画だなと思ったんですが、あらためてDVDで見るほどの映画ではなかったですね。その点では、「HANA-BI」の方がそうした鑑賞に堪えられる出来ということでしょう。
結局のところ、北野武=ビートたけしは、未だ(これらを撮った時)少年のようにニヒリズム漂うアウトローに憧れているということです。
出来るならば、70歳になっても、80歳になっても、「龍三と七人の子分たち」なんて映画ではなく、少年の心を持った映画を作り続けて欲しいとは思います。