エンターテイメント色の強い少年たちの冒険譚、見せ方や構成がうまくDVD鑑賞でも引き込まれます
スティーブン・ダルドリー監督の映画は、なぜか DVD鑑賞になってしまいます。劇場で見たのは「めぐりあう時間たち」だけです。
「リトル・ダンサー」「愛を読むひと」も DVD鑑賞で、後から劇場で見ればよかったと後悔し、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」も未だ未鑑賞です。
なぜなんでしょう?
邦題が悪いとか、宣伝方法が悪いとか…(笑)。コピーに「愛」とか「輝く」とかが使われていますと一瞬引いてしまいます。
邦題の話をすれば、この映画、「トラッシュ!」とビックリマークがついているんですが、これって不自然じゃないんでしょうか? 「Trash」って、差別的な意味あいのスラングだと思いますが、それにビックリマークって? 語感だけでつけていたりとか…? メインビジュアルもしかりです。
それに「この街が輝く日まで」って、そんな希望のある話じゃないですし…、と、まずは恒例(笑)の邦題批判をすましておいて、でも、映画は面白かったです。
やっぱりスティーブン・ダルドリー監督は構成や展開がうまいですね。DVD鑑賞でも引き込まれます。テンポもいいですし、サスペンス程度も適度ですし、何より3人の子供たちの使い方が上手いです。
ブラジル、リオデジャネイロ(でいいのかな?)のスラムで、ゴミを漁って暮らしているストリートチルドレンが、たまたま拾った財布の中の隠された暗号を解いて地方政界の不正を暴くという話で、当然賄賂で動いている社会であれば、警察もグルですからスラム街を追われまくります。
基本、エンターテイメント色の強い、少年たちの冒険譚なんですが、社会性も加味しつつ、あまり深入りすることもなく、まわりに、国連なのか、NGOなのか、教会の慈善活動なのかよく分かりませんが、神父(チャーリー・シーン)とオリヴィア(ルーニー・マーラ)を置いて少年たちをサポートさせ、かと言って大人が全面に出ることもなく、あくまでも少年たちが最後まで映画を引っ張り切るというとてもうまいまとめ方です。
それにしても、社会性を加味と書きましたが、あのゴミ山やスラムはどの程度現実なんでしょう?
スラムのことをブラジルでは「ファベーラ」と呼ぶらしいのですが、ネットで画像を検索しますと、映画のシーンがまるっきり作りものというわけでもなさそうです。