の構成力のすごさが光ります。エイミー・ワインハウスさんの CD を買いたくなること間違いなし。
このところ続けざまにドキュメンタリーを見ています。もちろん、結果としてですが、「FAKE」「ラスト・タンゴ」「シリア・モナムール」、そしてこの「AMY」と、2週間で4本目です。
この映画はいいですね。
ドキュメンタリーと言えども、ドラマと同じように作りものであることに変わりはなく、つくり手の意図やメッセージが明確に現れます。
その意味で、この映画は、エイミー・ワインハウスさんの一面を見事に切り取ってい(るように見え)ます。それも、残された映像だけを使って作られています。
2011年7月23日に急逝したエイミー・ワインハウス。ミック・ジャガーやトニー・ベネットらがその歌声を絶賛、レディー・ガガ、ジャスティン・ビーバー、アデルら多くのミュージシャンたちにリスペクトされ、世界中の音楽ファンに愛された彼女の生涯を描いた傑作ドキュメンタリー映画。
映画では全編を通して彼女の楽曲が流れ、本物のミュージシャンとしてのエイミーの魅力を解き明かします。(公式サイト)
どうやって手に入れたかは分かりませんが、エイミーさんのプライベート映像がかなり使われています。その他はテレビ番組や当時の取材映像、それもこの映画のための映像というわけではないでしょうから、何らかの方法により手に入れたのでしょう。
そうした映画のために撮られた映像ではないものを構成し、それに、過去エイミーさんに関わりのあった人たちのインタビュー音声を使って、見事に、あるひとりの人生(のある一面)を描き切っています。
一切ナレーションはなかったと思います。エイミーさんの音楽と彼女の声とインタビューした関わりのあった人たちの証言で構成されています。
すでに亡くなった人物を描く映画の場合、その生涯を説明するためのナレーションという手法がよく使われます。たとえば、NHK で放映されるドキュメンタリーは、そうした手法の映像作品としては相当レベルは高いと思いますが、まあ考えてみれば、そうした手法で映像作品を作ることは、シナリオを書いて、それに合う映像を撮ってくればいいわけですから、意外と簡単でしょう(すみまっせん)。
この映画はそんな安易な方法は取りません。
実際にその人物を知る、友人、両親、マネージャー、恋人、共演者などなど、同時代、同空間を生きた人物が語る言葉は、ナレーションなどとは全く異なり、その言葉により浮かび上がってくる人物像の重み、存在感はまるで違います。
そんなわけで、この映画を見ると、エイミー・ワインハウスさんを全く知らなくても、彼女を目の前にしているような存在感を感じられます。
もちろん、この映画で感じられる「AMY」は、彼女の一面でしかありません。あるいは、アシフ・カパディア監督によって作られた虚像かもしれません。
でも、それでいいんです。他人のことなど、誰にもわからないのですから。
- アーティスト: エイミー・ワインハウス,ゴーストフェイス・キラー
- 出版社/メーカー: USMジャパン
- 発売日: 2009/03/04
- メディア: CD
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