告白 コンフェッション

心理劇を期待するも、コメディ? ホラー? スリラー? わかんない…

ハード・コア」以来の山下敦弘監督です。最近は山下監督の名前をみてもそそられる映画がなく、この「告白 コンフェッション」もほぼそんな感じではありますが、ヤン・イクチュンさんが出ているということで見てみました。

告白 コンフェッション / 監督:山下敦弘

コメディなの? ホラーなの?…

コメディなのか、ホラーなのか、はっきりさせたほうがいいんじゃないかと思います。

(後日)こういうのはホラーではなくスリラーというらしいです(笑)。

多分コメディの意識はないとは思いますが、冒頭から30分くらいは笑いが漏れそうになります。ただ苦笑に近い笑いではあります。その後は一転して(一転を意図したわけではなさそうですが…)ホラーになり、そのまま最後まで突っ走ります。

原作の試し読みを見てみましたら、それなりの装備をした登山でしたが、映画ではハイキングとまでは言わないまでも軽登山程度の装備で、まあ確かにハイキングでも遭難ということはありますのでありえなくはないのですが、いくらなんでも映画が始まって1、2分吹雪を見せて、いきなりもう自分は死ぬだろうから告白するよってのはコメディにもならないコント芝居でしょう。

その告白というのが、実はさゆりは俺が殺したというものなんです。

浅井(生田斗真)とジヨン(ヤン・イクチュン)は大学時代から山岳部に所属しており、その最後の登山で仲間のさゆり(奈緒)を遭難で亡くなっており、その後、二人は毎年慰霊登山をしているということです。そして16年目の今年、悪天候のため吹雪に見舞われて遭難し、映画にはシーンはありませんが、ジヨンが滑落して足を怪我して歩けなくなり、吹雪の中で死を覚悟して告白したということです。

で、ジヨンが告白した直後、浅井が振り返ってみればそこに山小屋が見えるではありませんか!

そりゃ、笑いたくもなります(笑)。

16年前のさゆり遭難の真相は?…

そして、山小屋に避難、二人の間が気まずくなります。

この設定で、このキャスティングです。当然心理劇を期待します。でもそうはなりません。この後はホラーの王道パターンが最後まで続きます。襲うのはジヨンです。

二階がありますので、階段を使ったり、二階から下に降りる点検口のような蓋がしてある穴があリますのでそれを使ったり、トイレやストックヤードに逃げたりして、殺人鬼と化したジオンと逃げ役の浅井の追っかけっこホラーが始まります。

で、これもパターンですが、そうしたホラーパターンでいい加減飽きるだろう(とっくに飽きていますが…)と思っていますと、浅井がパッと目覚めます。ああ、夢だったのか?!

さすがに単純ホラーってわけにもいかず、ここでさゆり殺人事件の真相が明らかにされます。

当時、さゆりは浅井と付き合っており、妊娠しています。浅井が避けるようになったからなのか、さゆりはジヨンに助けを求めます。もともとジヨンはさゆりを好きだったらしく…、あれ? なんでジヨンはさゆりを殺したの?

ま、いいか(笑)、とにかく3人で登山にいった際にジヨンはさゆりの首を絞めて殺します。実は浅井はそれを見ており、ジオンが去った後、さゆりに近づきます。さゆりが息を吹き返します。浅井はさゆりの首を絞めて殺します。

むちゃくちゃいい加減な話ですね(涙…)。それにさゆりには人格もなし、妊娠して、裏切られて、殺されて、ほんとに成人男性向けのマンガは百害あって一利なしです。

さゆりを演じている奈緒さん、セリフもまったくありません。首を絞められるシーンと、それになお悪いのは、ベッドの上で浅井に向かって微笑むカットを演じさせられています。

山下敦弘監督、どこへ行く…

真相が明らかにされても映画は変わりません。再び追っかけっこホラーが始まり、あれこれあって浅井がストックヤードに隠れて閉じこもります。浅井が穴から覗きますと救助隊がやってきてジヨンを助け出していきます。

その後、どういう展開だったか忘れましたが、救助隊がやってきます。誰も見当たりません。しかし血が二階から滴っています。二階に上がってみますと、浅井が横たわったジオンをペグで何度も何度も刺し続けています。

74分、これ以上長ければ怒っていました(笑)。それに、もう山下敦弘監督の映画もいいかな、という映画でした。これを撮りたいという意思を感じられない映画には魅力がないです。

エンディング曲の「殺意vs殺意(共犯:生田斗真)」はカッコよかったですね。マキシマム ザ ホルモンというバンドらしいです。

ヤン・イクチュンさんはもう映画は撮らないんですかね。IMDbには数本短編がクレジットされていますがそれも10年ほど前以前のものです。「息もできない」は2008年ですのでもう16年前になりますね。