宗教性はほとんど感じられず、過酷な自然の中では人の争いなど些細なこと… 19世紀末のアイスランドを舞台にした映画です。今から150年くらい前ということになります。当時のアイスランドはデンマークの統治下に置かれていましたので、そうしたことからくる人間関係の軋轢が描かれています。ゴッドランド GODLAND / 監督:フリーヌル・パル...
ことの重大さを打ち消すかのように軽やかに振る舞うジョイの存在に意味がある… アメリカの連邦最高裁判所が、1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆して「妊娠中絶の権利は憲法で保障されていない」とする判断を下したのは2022年6月24日です。そしてこの「コール・ジェーン」がプレミア上映されたのがその年の1月21日のサンダンス映画祭であり、一般公開はその年の10月...
真面目さは感じるが、人物の背景描写がなくダイジェストのよう… 海外の監督が日本の物語を日本人の俳優で撮るというのは、最近ではヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」がありますが、あれは日本の企画で監督オファーですのでちょっと違いますし、あまりないですね。パトリック・ディキンソン監督は早稲田大学で日本映画を学んでいたとありますし、なんの...
映画としてはまとまっているが、物語が表層を滑っていく… 原作が本屋大賞受賞作ということですし、どこからともなく流れてくる映画の持つ匂いから、おおよそその傾向は想像はついていたのですが、ひとつだけ、え? それなの? という映画でした。どこからともなく流れてきていたのは予告編を見たからと思っていましたが、今トレーラーを見てみましたら見たことのないもので...
ラストシーン、コットがダディ、ダディと二度つぶやく父娘の物語… 一昨年2022年のベルリン国際映画祭ジェネレーション部門(Kplus)でグランプリを受賞したアイルランド映画です。Kplus は主人公が 4歳以上の映画が対象で、11人の子どもたちが審査するという部門です。主人公が14歳以上になりますと 14plus という部門になり、同じ年に川和田恵真監督の...
青春とは「普通」を拒否するがゆえにいつの時代もイタイもの… 2001年の映画のリバイバル上映です。といっても、それもよく知らずにポチッとして見てきました(笑)。タイトルにもまったく記憶にありませんし、スカーレット・ヨハンソンを知ったのが2003年の「ロスト・イン・トランスレーション」や「真珠の耳飾りの少女」ですので多分見ていないのでしょう。[toc...
フランス的個人主義と家族主義が同居する映画 前作が「アマンダと僕」のミカエル・アース監督の最新作、昨年2022年のベルリン国際映画祭のコンペティションで上映されています。主演はシャルロット・ゲンズブールさん、こちらはたくさん見ていますが、なにが記憶に残っているかと言われれば、やはりラース・フォン・トリアー監督の「アンチクライスト」「ニンフォマニアック」あた...
この乱雑さは気負いの現れ… 「ビー・ガン[凱里ブルース][ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ]フー・ボー[象は静かに座っている]に続く中国第8世代新たなる才能の発見チウ・ション|仇晟 鮮烈の長編デビュー作」と紹介されています。ただこの映画、2018年製作の映画です。郊外の鳥たち / 監督:チウ・ション新たなる才能か、未...
ペネロペ・クルスの映画監督役がはまっていてびっくり! ペネロペが天才映画監督? マジですか?! 最も似合わない役じゃないですか…。と思って見てみましたら、とんでもない! ペネロペ・クルスさんの俳優力を見損なっていました(ペコリ)。コンペティション / 監督:ガストン・ドゥプラット & マリアノ・コーンおふざけ...
ネタバレレビュー・あらすじ・感想・評価 「オリ・マキの人生で最も幸せな日」のユホ・クオスマネン監督の長編第2作です。その2016年の長編デビュー作はカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で作品賞を受賞しています。そして、この「コンパートメントNo.6」は2021年に同じくカンヌのコンペティション部門でグランプリ受賞です。滲み出る情感…...
本当の自分を抑え込まなくてはいけない辛さ 1995年、アイルランドの田舎町ではまだまだ性的マイノリティーへの差別意識が渦巻いていたという映画です。さらにその差別によって追い詰められる側がティーンエイジャーですので見ていてつらいものがあります。監督、脚本は「CURED キュアード」のデビッド・フレイン監督です。恋人はアンバー...
現実的な俳優が超現実な空間に置かれるシュールさ 「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2017」準グランプリ作品の映画化らしいです。それに引っかかったわけではなく「町田くんの世界」の文字がぱっと目に入ってきましたので思わず(なぜか)ぽちっとしてしまいました。この子は邪悪 / 監督:片岡翔シュールな俳...
小説の映画化は感想を映像にすることではない 『むらさきのスカートの女』で2019年上期に芥川賞を受賞した今村夏子さんのデビュー作『こちらあみ子』の映画化です。原作は2010年の作品ですが、デビュー作にして太宰治賞、三島由紀夫賞を受賞しています。2020年に芦田愛菜主演で映画化された「星の子」も今村夏子さんの原作です。監督の森井勇佑さんは現在37歳、...
CODAはChildren of Deaf Adults、また主題とは違うもの 聴覚障害を持つ両親と兄の手話通訳者として家族を支える高校生ルビーが、自分の進路に悩み、そして羽ばたくという青春映画です。2014年の「エール!」というフランス映画のリメイクとのことです。見ていませんので予告編で触りを見てみましたら、つくりはほぼ同じような印象です。...
ドキュメンタリーは真実報道ではなく非俳優によるドラマです 前作の「トトとふたりの姉」は、これ、ほんとにドキュメンタリー?! というようなすごい映画でしたけれども、この「コレクティブ」も、ちょっと違う意味ですごい映画でした。東欧ルーマニアの映画なんですが、あれこれちょっと入れ替えれば今の日本にも当てはまりそうでかなり怖い話ではあります。というよりもどの国にもという方...
サイコパス映画でした。今や、ヤクザ映画は成り立たず? この映画を見るために一作目の「孤狼の血」を見て、さらに柚月裕子さんの原作『孤狼の血』まで読んでいます(笑)。んー、これはヤクザ映画ではなくサイコパス映画ですね。原作には続編があり三部作となっているのですが、映画はそれとは関係がないようでオリジナルストーリーとあります。ただひとつだけ、原作の『孤狼の血』のラ...
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020グランプリ作品 女性がプールで上向きに浮かんでいる画やその女性がプールの底でしゃがんでいるトレーラー内のカットに目が止まり見てみました。監督は佐藤智也さんという方で、この映画は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020」のグランプリ作品です。湖底の空 / 監督:佐藤智也日本、韓国、中国合作ネタバレあら...
実録ヤクザ路線の時代劇化を目指すも… 痛いし、汚い映画です(ペコリ)。暴力シーンや女性の扱いにもうんざりしましたが、でもまあ、そういう映画ですし、松坂桃李さんがよかったのでいいんじゃないでしょうか。「凪待ち」を見て白石和彌監督の評価が上がりましたので見てみた映画です。孤狼の血 / 監督:白石和彌"血沸き肉躍る、男たち渇望の映画"ってか実録ヤクザ映...
ジョシュ・オコナーの存在感に尽きる 映画関連サイトでよく目にする「ゴッズ・オウン・カントリー」、いまだ見ておらず、ずっと気になってはいたのですが、先日「アンモナイトの目覚め」を見た機にやっと見られました。フランシス・リー監督、2019年の映画です。ゴッズ・オウン・カントリー / 監督:フランシス・リージョシュ・オコナーにつきるネタバレあらすじとち...
エッフェル塔と結婚した実在の女性がモデルの映画 監督のゾーイ・ウィットックさんが、エッフェル塔と恋に落ちて結婚したアメリカ人女性がいるとの新聞記事を読んだことがこの映画製作の始まりだそうです。恋する遊園地 / 監督:ゾーイ・ウィットックエッフェル塔と結婚したエリカ・エッフェル対物性愛ファンタジーでもなくコメディでもなくホラーでもない ネタバ...