そんなには褒めないよ。映画評

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息もできない

2010/08/30

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観たのが4月末でしたので、もう4ヶ月も経っていますね。ずっと何か書き残しておこうかと思っていたのですが、多分それほどずんと来るようなものがなかったんでしょう、今になってしまいました。

ということで、大して書くこともないのですが、4ヶ月経った今でも残っていることは、ヤン・イクチュン監督の優しさを感じたことと予告編でさんざん聞いた(と思った?)ヨニのせりふ「私のために生きて」が本編じゃ出てこないじゃん、ってことです。

あるいは、二つ目は私の勘違いか聞き逃したかの可能性もありますが、いずれにしても、このセリフに(私には)象徴される、世間的には粋がってはいるが実は迷いも多く寂しさを抱える男と、自分を取り巻く劣悪な環境に耐えながら、それでもどこか芯のある強い生き方をできる女の、まあいってみれば、ある種ベタな話が私の趣味ってことです(笑)。

その意味では、この「息もできない」は、日本映画、たとえばやくざ映画やチンピラ(?)映画に多くみられる設定や人物配置でつくられており、全体のつくりとしては、期待ほどインパクトのあるものではありませんでした。

また、この映画の背景となっている社会環境や家族関係には、韓国独特のものがあり、特に家族という点においては、今の日本で問題になっているのは、この映画のような家族に縛られる個の問題ではなく、すでに家族という概念が崩壊しているということなので、言葉が適切かどうかは分かりませんが、ある種懐かしさをもって私はこの映画を観ました。

ヤン・イクチュン監督の優しさということについては、とにかく全体のトーンが優しいです。人を傷つけたりするシーンにおいてさえ、優しさがにじみ出ていますし、サンフンが使う汚い言葉にしても、本当に恐いキレた言葉ではありませんし、言い返すことも可能と思わせる包み込む優しさを持っています。

そういった優しい映画を作ろうとしたのかどうかは分かりませんが、監督であり、自ら主演しているヤン・イクチェンの性格ではないかと思います。確かに描かれているのは、暴力であり、様々な憎しみであり、最下層(多分)の生活環境であり、ラストシーンでこの映画のテーマとして提示される暴力の連鎖なんですが、そのどれもが優しさによって包まれており、決定的な絶望感からは随分と離れている感じがします。

よくこの映画の感想に「本当に息もできない映画」といった表現が使われていますが、私には、とても見やすく、どこか懐かしいチンピラ映画を見ているような感覚を持ちました。

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