ドライブアウェイ・ドールズ

セックスネタ オンパレード レズビアン バディ ロードムービー…

2016年の「ヘイル、シーザー!」以降、名前を耳にしていないなあと思っていたコーエン兄弟ですが、Netflix配信の「バスターのバラード」とか、お兄さんのジョエル・コーエン監督単独でこれも配信の「マクベス」とかを撮っているようです。

で、この「ドライブアウェイ・ドールズ」は弟さんのイーサン・コーエン監督単独の映画です。

ドライブアウェイ・ドールズ / 監督:イーサン・コーエン

当事者にはどう見えるんだろう…

どう表現したらいいんだろうという映画ですね。あからさまなセックスネタ オンパレードの映画なんですが、これだけあっけらかんとやられますと下品さを超えちゃっています。それにエロでもありません。

今では LGBTQ も日常的に使われる言葉になりましたし、テレビニュースでもレインボープライドが報じられて特集が組まれたりしています。

でも、この映画はそうしたものからはかけ離れています。LGBTQという意味ではレズビアンを題材にした映画なんですが、はたして当事者はこの映画をどう見るんだろうと考えてしまう映画です。

というよりも、レズビアンを描こうとしているわけではないのかも知れません。早い話、セックスネタで面白ければいいというふうに考えているようでもあります。

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イーサン・コーエン監督と脚本と編集、それにともに製作にも入っているトリシア・クックさん夫妻のこのプロモーション動画を見ますとそんな気がしてきます。

ただ、そのトリシア・クックさんはレズビアン(バイセクシュアルかな…)を公言している方ですので、いくらおふざけ映画だとしてもイーサン・コーエン監督は真面目におふざけものを撮っているということだはと思います。

こういう映画が撮れるのもアメリカ…

それに、しょうもない映画ですが、こんな映画を撮ることができるのもアメリカしかないでしょう。主演や主演級の俳優もいいキャスティングですし、マット・デイモンさんまで登場します。

レズビアンのバディを組むのは「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」のマーガレット・クアリーさんと、こちらは初めて見るジェラルディン・ビスワナサンさん、そしてレズビアンの元カノ役をやっているのは「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」や「ビルド・ア・ガール」のビーニー・フェルドスタイン、この俳優さんはとてもいいですね。

ジェイミー(マーガレット・クアリー)はセックスにおいても自由なレズビアン、バディを組むマリアン(ジェラルディン・ビスワナサン)は人付き合いに消極的なレズビアンという設定です。ビーニー・フェルドスタインさんが演じているのはジェイミーの元カノのスーキーで、ジェイミーがマリアンに乗り換えたものですからあとを追っかける役です。

とにかく、ドラマとしてはひねったところも考えさせようというところも何もありません(笑)。

マリアンがタラハシーのおばさんに会いに行くことになり(だと思うけどよくわからん…)、スーキーと別れた(逃げてきた?…)ジェイミーも同行します。同じころ、ギャングが車をタラハシーに運んでほしい(取りに来るから預かって欲しいだったかな…)と代行屋みたいなところに持ち込みます。

で、手違いなのかなんだかよくわからないうちにジェイミーとマリアンがその車でタラハシーに出発します。ギャングたちは二人の後を追います。

ということで、コメディというところまでいかないギャグ展開で映画は進みます。途中、二人はオールレズビアンのサッカーチームと出会ったり、ジェイミーがレズビアンバーで知り合った女性を連れ込んだことから逆に二人の関係が進展したりします。

女性たちは聡明に描かれていますが、追っかけるギャングの男たちはギャグっぽく間抜けに演出されています。

そしてある時、車のトランクを開けますと、そこには生首とあるものが!

あるものとは生身の男の物から型をとった数本(数個?…)のディルドであり、なんとか上院議員(マット・デイモン)の収集物らしく、その後、二人がギャングに捕まったり、やっつけたり、またそのディルドを使って愛し合ったりのあれこれがあって、最後、そのディルドと引き換えに100万ドルを上院議員からせしめます。

そして、マリアンのおばさんのもとに到着した二人は、おばさんの前で同性婚すると宣言して終わります。

お熱いのがお好き…

本家のレビューを読んでいましたら、このラストシーンは1959年のビル・ワイルダー監督のコメディ映画「お熱いのがお好き」へのオマージュだと書いているものがありました。

見ていませんのでそうらしいとしか言えませんが、他にも1955年のロバート・アルドリッチ監督のサスペンス映画「キッスで殺せ!」というタイトルも出てきます。こちらはその映画自体を知りませんでした。

いずれにしても、この手の映画は過去の映画へのオマージュというのは常道ですのであり得ることだと思います。

それにしても昔の映画の邦題はシンプルにうまいですね。