セッション/デイミアン・チャゼル監督

鬼の目にも涙では甘いのだ!スパルタ教育こそが天才を生むのだ!

見逃していた映画が、運良く二番館で上映されていました。音楽ものですし、「圧倒的」とか「ラスト何分の何とか」とかの言葉が踊っていますので期待は高まります。

名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。
ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。
だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。
恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし…。(公式サイト

あれ!? なんだかジャズの話じゃないみたいです。映画自体にも愛がないですね(笑)。

ダンスやバレエの肉体系、音楽でいくならクラシック、それでしたら、まだなんとかなるかもしれませんが、ジャズはスポ根ものに合わないでしょう。音楽学校ではジャズもあんな感じなんでしょうか。

自由じゃないジャズなんて…。

フレッチャーのキャラクターもよく分からないです。単に自分の都合で怒鳴っているだけにも見えますし、いじめ、虐待と言われない「愛」があったのでしょうか。

まあ、たとえ「愛」があると言い張っても、あれが現実なら逮捕ですね。

音楽的にはどうなんでしょう? ラストの何分間も、楽器がドラムということもあり、音量的なパワーは感じられても、音楽的な豊かさはあまり感じられませんでした。

原題は「Whiplash」という曲名で「セッション」ではないのですが、ラストの演奏にニーマンとフレッチャーのセッションがあったとは思えませんし、いずれにしても「セッション」って喧嘩じゃないでしょう。

映画的にも、フレッチャーだけが浮き、ニーマンのお父さんや恋人ニコル(メリッサ・ブノワ)も付け足し過ぎます。

ほとんど褒めるところのない映画ですが、ニーマンのマイルズ・テラー、猛特訓して自らドラムを演奏しているそうです。一部吹き替えもあるとは思いますが、これがドラム初体験だとすれば称賛に値するでしょう。*1

*1:こちらの記事に10年以上のキャリアがあるとありました