グリーグ、ドビュッシー、アルヴォ・ペルト、グレツキを聴きながらファッション雑誌を繰る
テレンス・マリック監督、この監督くらい世間(ではなく業界?)の評価と自分の感覚にずれを感じる監督はいません。
初期の「地獄の逃避行」「天国の日々」は40年くらい前の作品ですのでおいておいても、映画界復帰後の「シン・レッド・ライン」「ツリー・オブ・ライフ」など、金熊賞やパルム・ドールを受賞していますが、私にはその良さが全く分かりません。
それなのに、またも見に行ってしまいました(笑)。それが巨匠の証し?
監督:テレンス・マリック
ハリウッド、セレブリティの世界。脚本家として成功したリックは、有力者の豪邸で開かれるパーティーに頻繁に招かれ、女たちとの享楽的な日々に溺れていく。一方で、崩壊した家族の絆を取り戻そうと奔走し、富と引き換えに自分を見失っていく自らに不安を抱いていた。やがて、“漠然とここにはない何か”を探してさまよい始めたリックは、6人の美女たちと巡り会う。彼女たちに導かれ、リックは自らが探し求めていたものへと近づいて行く——。(公式サイト)
んー、悪くはありませんが、これで2時間は無理でしょう。プロローグとエピローグだけで作られているような映画です。
いきなり、テレンス・マリックらしい(というほど見ていませんが…)音楽と映像から始まり、内省的なナレーションがかぶります。導入としては悪くないね、などと10分、20分…。本編はいつ? なんて見ていましても、何も変わりません。
おい、本編はいつ始まるんだよ!?(笑)と叫びたくなるような映画でした。
要は観念的なものは溢れていますが、実体がない映画といった印象です。自省的といえば自省的な映画、悪く言えば、そんな悩み(苦悩)、自分で解決してよ、と言いたくなる映画ということです。
ただ、音楽は、何だっけ、これ?と考えながらも特定できず、エンドクレジットでグリーグ、ドビュッシー、アルヴォ・ペルト、グレツキなど、結構好みの作曲家の名前が読み取れ、ああそうかと納得しましたし、映像も、かなり広角のレンズで撮っていましたが、きれいと言えばきれいでした。全編、ファッション雑誌やアート雑誌の映像のよう(と、これ褒めているわけではありません)でした。
編集はスムーズです。ほとんどのカットにズームやらパンやらの動きがありますので、流れがきれいに見えるのでしょう。
ということで、テレンス・マリック監督、もういいかなというところです。