恋愛裁判?真衣の決断?アイドルとは何か?何をやろうとしたのでしょう
アイドルが所属会社から恋愛禁止の契約を破ったとして損害賠償請求される裁判の行方を描いた映画です。監督は、私が見ている最近の映画では「LOVE LIFE」「よこがお」の深田晃司監督です。

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ネタバレあらすじ
アイドルの恋愛が争点となった裁判が過去にあったように思いましたのでググってみましたら2件ありました。
ひとつは 2015.9.18 の判決で、アイドルの責任を一部認めて約510万円の請求に対して65万円の支払いを命じた判決です。伊藤和子弁護士による記事があります。
もうひとつは 2016.1. 18 の判決でこちらはアイドルの法的責任を否定しています。こちらも伊藤和子弁護士による記事があります。
後者の事件についてはもっと詳しい判例解説があります。
要点は、被告となったアイドルは所属会社と「ファンと交際した場合は損害賠償を求める」と定めた専属マネジメント契約を結んでいたが、活動開始後ファンの男性と交際を開始し、その後会社にやめると伝えて予定されていたライブに出演しなかったということです。それに対して会社側が約765万円の損害賠償請求を提起した事件です。
こちらは所属会社側の請求が棄却されています。
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菜々香の交際と傷害事件
この映画「恋愛裁判」はおおむね後者の事件を下敷きにしてつくられていると思われます。事件ではアイドルひとりですが、映画では二人に分けでふくらませてあります。
ファンと交際するアイドルは菜々香(仲村悠菜)といい、こちらは謝罪してアイドルを続けることにし、もうひとりのアイドル真衣(齋藤京子)は、その成り行きを見たりするうちにアイドルである自分自身に疑問を持ち始め、同じ頃再会した中学時代の同級生と相思相愛となってやめることにします。そのため所属会社から損害賠償請求されます。
映画のアイドルグループは5人グループの「ハッピー☆ファンファーレ」といい、人気上昇中であり小規模のライブハウスを満員にしています。ライブ後は握手会や写真撮影という、いわゆるアイドル産業のビジネスモデルとなっている(と思う…)ものをなぞって描かれています。
アイドルたちはファンが「好きだよ」といえば、「私も大好きだよ」と返しています。CD を50枚買ったというファンまでいます。このファンは客席を撮ったシーンでも目立っていましたし、わざわざこのシーンを入れていますので後の何らかのシーンの仕込みだということがわかります。
菜々香は YouTube を介して知り合ったというファンの男性と付き合っています。真衣たち他のメンバーもそのことを知っており、二人のデートのためにカラオケに付き合い、途中から二人だけの時間をつくったりしてサポートしています。
菜々香の裏アカから二人のことがもれます。菜々香は男性と別れてアイドルを続けることを決め、所属会社とファンに謝罪します。しかし、CD50枚のファンは許せなかったようです。ライブ会場で発煙筒をたき、スタッフを切りつけ、菜々香を襲おうとします。スッタフがファンを取り押さえることで菜々香は難を逃れます。
この事件、その後どうなったんでしょうね。何も触れずに流されていました。最初のスタッフが切りつけられた凶器が何だったかはっきりしませんでしたが、何であれ傷害事件ですし、これが実際の事件であればトップニュースです。
実際にアイドルを狙った犯罪は何件か起きていますのでさらっと流しておいてはいけないような気もしますけどね。ググってみましたら、発煙筒を使った事件も実際にあったようです。それにあの凶器は実際の事件でもあったのこぎりだったのかもしれません。
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真衣の交際と決断
同時進行で真衣(齋藤京子)のドラマも進行しています。真衣はセンターで活躍しているのですが人気に陰りが出てセンターを菜々香に譲ることになります。そのことも迷いのひとつとして描いています。
中学時代の同級生敬(倉悠貴)と出会います。敬は大道芸パフォーマーです。真衣はたまたま見かけたそのパフォーマンスに魅入られます(もうちょっと軽い…)。
このパフォーマンス、パントマイムの壁をやっており、ちょっとどうかなという感じではありますが音楽や全体の雰囲気で哀感を出してなんとか持ちこたえていました。
真衣は敬に惹かれていき、さらにアイドルとしての自分に迷いを感じていきます。
そんな時、菜々香の事件が起きます。その間の重い空気が引き金になったのか、ある時、瞬間的に決断し、敬のもとに走ります。
そして、何ヶ月後(だったか…)、真衣はアイドルをやめて敬と暮らしています。二人は真衣が所属していた会社から損害賠償を求められて提訴されています。800万円と言っていたと思います。
で、後半はリーガルドラマになるのかなと思っていましたら、意外にもそうではなく、法廷シーンは2、3シーンで、これといって記憶に残るようなシーンもなく、今思い返しても何を描こうとしていたのかはっきりしない後半です。
結局裁判は、原告である会社がなにか大手の健康食品会社(と言っていたかな…)の傘下に入ったことで和解を申し出て、敬は和解に応じたものの真衣は拒否して、原告の会社相手に人権侵害で反訴します。ただ、これ以降の法廷シーンはありません。
いきなり判決後に飛んでいました。判決がどうであったかも語らずにです。ただ、メンバーのひとりであった梨紗(小川未祐)がよく頑張ったねと言っていましたので、おそらく実際の事件同様に勝訴したのでしょう。敬とは別れたようです。
結局、裁判の経緯ではなく真衣の決断を見せることにしたということなんでしょうか。
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感想、考察:現実をなぞっているだけでは…
それにしても「恋愛裁判」としておきながら中途半端な終わり方です。
それにそもそもなぜこのネタをいま映画化したのかとも思います。テーマと書かずにわざわざネタと書いているのもネタ扱いにしかなっていないからで、とにかくどっちつかずです。
「恋愛裁判」にするのなら業界の問題点にもっと深く切り込むべきですし、「真衣の決断」に焦点を当てるのであれば、なぜ若い子たちがアイドルに憧れたり、またなぜCDを50枚も買ってしまうということになるのかを描くべきだったんだと思います。
そうですね、最後には真衣はどこかアイドルに未練があるような感じを漂わせていましたので、一体アイドルとは何なのかに焦点を絞ればこの映画にも意味はあったかもしれません。
現実をなぞっているだけの映画は意味がないでしょう。それも10年前です。
深田晃司監督の映画は初期の頃のもののほうがいいです。