レッドシューズ

脚本と監督にレッドカード…

主演の朝比奈彩さんも、監督の雑賀俊朗さんも、名前を見るのも聞くのも初めてという映画です。ボクシング映画という点にひかれて見た、ということでもないのですが、あえて言えばそういうことです。

レッドシューズ / 監督:雑賀俊朗

いつの時代の映画?

思わず製作年を見てしまいました。間違いなく2022年です。

と、ちょっと嫌味な入り方になりましたが、こうした映画が今でも需要があるということなんでしょうか…という自分も見たわけですが(笑)、実際、えー?! えー?! の連続する映画です。言ってみれば、昭和に迷い込んでしまった錯覚に囚われます(昭和にゴメン…)。

母親と3、4歳の娘の母娘愛が徹底して昭和パターンで描かれていきます。あまりにも類型的に描かれますのでむちゃくちゃ空虚です。引き離された母娘が、ママー! むすめー!(名前を忘れた…)と泣きながら求めるパターンの繰り返しです。

引き裂くのは義母です。これもパターンですので、孫のためを思ってのことの一点張りで一切迷いなどが描かれることはありません。そしてこれまたパターン通り、最後は母娘が抱き合い涙するところを見ればあっけなく笑顔を残して退場していきます。

ボクシングシーンが…

ボクシングのトレーニングシーンは結構フットワークもよく、連打シーンも、加工してあるのかもしれませんが悪くなかったように思いますが、試合シーンになるとベタ足になっちゃうのはなぜなんでしょう?

撮り方が悪いんでしょうか、もっと迫力あるシーンが撮れないんでしょうかね。

脚本の価値観が…

ツッコミどころが多すぎるといいますか、そもそも人物像やその設定が詰められていないでしょう。

真名美(朝比奈彩)の貧しさがなにゆえなのか、夫のがんはいつ発見され、何がんなのか、夫婦はどういう生活をしていたのか、保険は入っていなかったのか、その間義母とはどういう状態だったのか、そうしたことをきっちりと組み立てておかないと真名美の人生が見えません。

ボクシングに関しても、真名美はいつボクシングをやめたのか、なぜ再び始めようとしたのか、始めようとしたときの経済状態はどうだったのか、考えなくちゃいけないことはいっぱいあるでしょう。

真名美が働くスーパーの店長のパワハラ、介護施設の入居者のセクハラ、見ていて涙が出てきます。なぜ、あんな過剰なシーンを入れるんでしょう、批判的に描いているつもりなんでしょうか。

とにかく、この脚本を書いている人たちの価値観はちょっとまずいでしょう。