宝島

NHKの大河ドラマでやればよかったかも…

2018年下半期直木賞受賞作の真藤順丈著『宝島』の映画化です。

宝島 / 監督:大友啓史

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ネタバレあらすじ

3時間10分の超大作です。

そりゃ、あの原作をそのままやろうと思えばそうなっちゃいますわね。

原作のあらすじ、レビューは上のリンク先です。かなり詳しく内容を書いていますので、映画を見てから読んでいただきますと、ああ、こういうことだったのかとよくわかると思います。

映画は基本的には原作のストーリーを守ってつくられています。もちろんいくつかカットされていることがありますが許容範囲だと思います。ですのでここにはあらすじは書いていません。

脚本が高田亮さんですのでもっと原作から変えちゃうのかなと思いましたがそうでもなかったです。ただ、情緒的な面、特に沖縄の人々が持つ、と高田亮さんが考える諦めと同居した怒りがかなり強調されていました。

それを映画の軸にしようと考えたのかも知れません。

ただ、原作がその「怒りと諦め」で貫かれていませんので無理だったということだと思います。

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感想、考察:たぎれ!ない。

映画は散漫です。

そもそもこの原作を読んで映画化を考えた言い出しっぺはどんなイメージを持って言い出したのでしょう。

原作は1952年から1972年まで20年間の沖縄の歴史が語られていく小説です。その点では大河ドラマ向きと言えるかも知れません。

少なくとも映画的なエンターテインメントではありません。

消えてしまったオンちゃんは死んでしまっているわけですし、「予定にない戦果」にしてもアメリカ軍が総出で阻止しようとするようなこととも思えないですし、実際、情報部のマーシャルも何も知りません。

原作においてでさえ、20年の沖縄の歴史の中に「予定にない戦果」つまりは「ウタ」の存在がうまく収まっていません。「若者たちの友情と葛藤」といっても、原作にはグスク、レイ、ヤマコ 3人それぞれの20年が描かれるだけで 3人がそろって行動するシーンもありません。

結局、そうした原作の問題点が映画化によって余計に強調されてしまったようです。

「ウタ」は「御嶽(うたき)」ですので、それを前面に出した物語に翻案すべきだったと思います。