新しい形の3D、3Dの可能性などと注目の映画です。
初めて見た3D「三銃士」では「書き割りだ!」と騒ぎ、「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち/ヴィム・ヴェンダース監督」では、美しい映像に感動したわけですが、3Dにあまり意味を見いだせない者としては、松江監督のこの手法はありかもと感じさせます。
映画は、追突事故により、記憶の一部が消えたりする脳機能障害となってしまったディジュリドゥ奏者のGOMAさんを追ったドキュメンタリーです。
で、何が3Dかと言うと、まず時間軸的には現在となる復帰後のスタジオライブ映像が3Dで撮影されており、その背景に過去のライブ映像や写真、そして妻すみえさんの日記が再構成されて映し出されるというわけです。イメージ的には、ライブステージでバックに映像が流れる感じに近いです。
いわゆる3Dをレイヤー的にとらえることで、そこに現在、過去という時間軸を反映させることが可能となり、結果的に見る者に未来を感じさせることに成功しています。
完全なる音楽映画となっており、会話やナレーションは一切なく、本人や妻の語りが字幕として最も前面のレイヤーに表示されます。これがややつらく、文字を読みながら、その奥のレイヤーに集中することはかなり困難と感じました。ナレーション字幕がかなり多かったですね。
追突事故のその日、2009年11月26日の首都高の映像(もちろん後撮りですが)のその瞬間が線画のアニメーションになるところはかなり効果的で、不思議なリアリティがありました。
松江哲明監督の映画は、「トーキョードリフター」以来、2本目ですが、まだもうひとつつかみきれません。2月に特集上映があるようですので、「童貞。をプロデュース」を見てみようと思います。