映画というより舞台劇のつくりでした。内容的にもそうなんですが、ライティングやカメラの構図からもその印象が強いです。奥、たとえば教会の入口から差し込む光、斜め後ろからの光によるシルエット気味の構図、俯瞰の時のサスっぽいライティングなどなど、さらにオールスタジオ撮りでしょうから、当然ながら人物の登場の仕方も舞台劇そのものでした。
「イタリアのある街で、半世紀の間、市民が集ってきた教会堂が取り壊されようとしている。キリスト像も無残に下された。(略)夜、ひとりの男が傷ついた家族をつれて司祭館にやってくる。男は技師で、家族は無神論者であってみれば、混沌こそが世界の本質とも言えるのではないかと思うわけで…。