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罪の手ざわり/ジャ・ジャンクー監督

第二話の強盗シーンのカッコ良さは必見!ジャ・ジャンクー監督、次はフィルム・ノワールものでしょ

2014/06/30

罪の手ざわり(字幕版)

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本当にジャ・ジャンクー監督はこの映画を今撮りたかったのかと少しばかり首をひねるといいますか、理屈が先立ちすぎてあまり伝わってこないといいますか、やや期待が裏切られたわけですが、あるいは、ジャ・ジャンクー監督自身の何かが変わっていく過渡期なのかも知れません。


罪の手ざわり(字幕版)

村の共同所有だった炭鉱の利益が実業家に独占されたことに怒った山西省の男。妻と子には出稼ぎだと偽って強盗を繰り返す重慶の男。客からセクハラを受ける湖北省の女。ナイトクラブのダンサーとの恋に苦悩する広東省の男――。彼らが起こす驚愕の結末とは? ごく普通の人びとである彼らはなぜ罪に触れてしまったのか? 
中国でここ数年に実際に起こった4つの事件を基に、急激に変貌する社会のなかで、もがき苦しみながらもひたむきに生きる人たちをパワフルかつセンセーショナルに描く濃厚な人間ドラマの傑作が誕生した。(公式サイト)

冒頭のトマトが路上に散乱しているシーンはとても印象的ですし、バイクのシーンでは、単純なバイクつながりですが「青の稲妻」を思い出しましたし、これは期待できるぞ!と…。

ところが、その後に続く第一話が何と言っていいのか、良くいえばシンプル、悪くいえば単純(一緒か?)、勝ち組(うまくやった者)と負け組がいて、怒りがあって、殺人が起きるという、今の中国ならありそう(だと思う)な、ただそれだけの話です。

第二話は、冒頭のトマトのシーンに、たまたまバイクで通りがかり山賊のような三人をあっけなくピストルで撃ち殺してしまった男の話です。この男は第一話の話には関係なく、つまり、他の物語にちらっと顔を出した人物が次の物語の主人公になるという趣向のオムニバス形式の映画です。

で、この第二話がいいです。チョウ(ワン・バオチャン)は、出稼ぎに出て妻子に大金を仕送りしているのですが、実は国中を転々として強盗(殺し屋?)でお金を得ているらしく、その強盗シーンが描かれます。ワン・バオチャンの小柄であまり強そうではないのに何だか得体の知れない凄みみたいなものを持った雰囲気がとても良く、強盗するシーンは実にカッコいいんです(ってカッコいいって言っていいのかな)。

このシーンを見て、ジャ・ジャンクー監督、次はフィルム・ノワールものを撮るべきだと真剣に思いました。

第三話には、チャオ・タオさん登場です。この人が出ると一気にジャ・ジャンクーぽさ全開になります。

第四話は、「青の稲妻」や「世界」に近い世界です。でも、やはり時代の流れと年齢(監督の)でしょうか、内に秘められたエネルギーと言いますか、熱っぽさみたいなものはあまり感じられず、シャオホイ(ルオ・ランシャン)の自殺もかなり突発的な感じで、全体的に覚めた感じでしょうか。あるいは、見る方の意識の変化かも知れませんが…。

ということで、次回作フィルム・ノワールものを期待しつつ、「世界」「青の稲妻」をもう一度見て見ようと感じたジャ・ジャンクー監督最新作でした。

グランド・ブダペスト・ホテル/ウェス・アンダーソン監督
私の、息子/カリン・ピーター・ネッツァー監督」とても良い映画でした 車の中からのガラス越しの抑制されたエンディングが何とも言えず素晴らしいです
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