そんなには褒めないよ。映画評

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共犯/チャン・ロンジー監督

学園生活の「陰」を描きながら、浮かび上がってくるのは「友情」というポジティブな人間関係

2015/08/13

あの感動的な「光にふれる」のチャン・ロンジー監督の新作です。今回も、と感動ものを期待したわけではないのですが、多少戸惑いを感じるくらい雰囲気の違う映画でした。サスペンス&ミステリー学園青春ものという感じで、ふっと「桐島、部活やめるってよ」を思い出したりもしましたが、あらためて考えれば、全く違っていますね。

シーンとしては、いじめやSNSがらみのあれやこれやが出てはきますが、やはり台湾映画です。陰湿さは全く感じられず、むしろ人間は信頼するに値するんだという、極めてポジティブなテーマが浮かび上がってきます。

「光にふれる」でも感じましたが、チャン・ロンジー監督、タイトルバックを含めた導入部分に相当力を入れています。

アシッドトランス系(かな?)の暗めの音楽、そのリズムに呼応するように、藻が揺れる水中、(多分)溺れている人、絡みつく藻などなど、いろいろなシーン(思い出せない(笑))のカットがフラッシュバック的に編集され、何やらただならぬ空気を生み出します。

あるいは、ブクブクといった水音などもかぶっていたかも知れません。音楽を含め「音」へのこだわりはかなり強い監督です。 

 男子高校生ホアン、リン、イエは、通学途中、偶然同じ時刻に通りがかった路地で、同じ学校の女生徒シャーが変死しているのを発見する。
それまで口をきいたこともなかった3人だが、この奇妙な出会いを期に、仲良くなっていった。
シャーは自殺なのか、それとも――死の真相を調べ始めた3人の前に、彼女が同級生からいじめられていたのではないかという疑惑が持ち上がり…。
ミステリアスな女生徒の死から幕を開ける物語は、少年たちによる犯人捜しから復讐譚へと突き進むかに思わせながら、思いがけない方向に展開し、加速していきます。
隠された日記、SNSの炎上、秘密の森。そして新たに起こる悲劇…。
衝撃のラストで、彼らが辿り着いた真実とは?(公式サイト)

物語的に意味のある大人を全く登場させていません。これがとてもいいです。いろいろおや?と思うところはあるのですが、でも、考えてみれば、子供の頃(といっても高校生ですが)は、世の中がこうやって見えていたなあと思えてきます。

台湾映画を見ると必ず感じることですが、この映画も人間関係に断絶がありません。

起きることは、自殺、いじめ、ネット上の誹謗中傷、そして騙しなど、人間関係の「影」の部分なんですが、映画で中心的に描かれるのは、ホアン、リン、イエ3人の友情とも言える「陽」です。

ラスト、イエが誰にともなく言う「あいつが生きていれば」が象徴的です。

チャン・ロンジー監督、これが長編2作目で、現在「私家偵探」という犯罪ミステリーを製作中とのことです。「これ」が撮りたいというよりも「手法」へこだわるタイプの監督のようです。

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