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目撃者 闇の中の瞳

(ちょっとネタバレ)台湾発ミステリー・サスペンス、ストーリーは面白いが…

2018/02/01

台湾のサスペンス・スリラーです。

監督のチェン・ウェイハオさんによれば、「台湾映画の主流は、感動的な人間模様や、若者の姿を描いた作品です。それらに比べるとスリラー映画や犯罪映画は数が多くありません。」とのこと、確かに台湾映画と聞きますと、すぐに「海角七号 – 君想う、国境の南 –」など青春ものを思い出しますし、犯罪もの?と考えてもあまり浮かびません。

現在名古屋では、そのウェイ・ダーション監督の青春ミュージカル(かな?)「52Hzのラヴソング」も公開中なんですが、こちらの予告編を見ましたら、結構面白そうということで、こちらを先に見ることにしました。

監督:チェン・ウェイハオ

公式サイト

まずもって、カラー調整がおかしいんじゃないの?って、まさか素人じゃないでしょうからそれはないとは思いますが、映像の色合いが変なんですよね。どういうんでしょう? ブルーが強いといいますか、肌色も出ていませんし、わざとサスペンスっぽさを強調しようとしているのでしょうか。

それに、音楽が気になります。冒頭の9年前の交通事故のシーンにしても、サスペンスタッチ(のつもりかな?)の音楽がずっと流れていました。気になったんですから、(私は)あっていないと感じたのでしょう。

また、予告編で、9年前に主人公のシャオチー(カイザー・チュアン)が目撃した交通事故が物語のキーとなることを知っていたせいもあり、冒頭のそのシーンの描き方が何だか中途半端だなあと思ったのですが、見終わってみれば、それが物語の根幹(ネタ)に関わることでした。

つまり、その2台の車に誰が乗っていたのかを解き明かしていくことが映画の軸となり物語が進んでいくということであり、それがミステリーのネタということです。公式サイトではサスペンス・スリラーと言っていますが、どちらかといいますとミステリーと言ったほうがいいと思います。

まあ最初にネタをばらしてしまうわけにはいかないのは分かりますが、わざと見せないようにしていると感じさせちゃダメなように思います。

で、ことの発端は、9年後、シャオチーは有能な新聞記者となっており、たまたま事故にあったことから自分が乗っているBMWが9年前の事故のぶつけられた方の車であることが分かります。その因縁に不可解さをおぼえたシャオチーは警察へのコネを使って調べ始めます。

この因縁にもう少し何かを加味できれば、あるいはサスペンス度が上がったのではないかと思うのですが、シャオチーのこの事故に対する執着心があまり感じられないのが残念です。

それに、自分自身の誤報が原因で新聞社を解雇されることが、あまりシャオチーの心情に影響を与えているように見えないのも映画に切迫感が感じられない原因かと思います。

批判的なことばかりから入ってしまいましたが、物語は面白いと思います。

ただ、事故車2台にそれぞれの真相があり、その2つがうまく絡んでこないことがもったいない感じです。

ぶつけた方のベンツの真相は、中盤になれば、ああこの人物が絡んだ政治ネタだなと分かってきますが、ぶつけられた方のBMWの真相はちょっとばかり唐突です。確かに9年前の身代金誘拐事件(だったかな?)の記事を早い段階で見せられ、BMWの同乗者であるミステリアスな女性シュー(アリス・クー)を追う設定にはなっていますが、その真相が、おい、おい、警官がかい?と、その展開はちょっと無理でしょうと興味が失せてしまいます。

その展開なら、警官をもっと描かないとダメでしょう。

さらに、ラストにはスプラッター的なシーンまで挿入されて、え?そこへ行くの?と、驚く以前になぜ?が残ってしまいます。

結局、よい話に切り替えようとしたのに、ダメなところだけ取り上げることになってしまいました。けなす意図はなく、物語は面白いのに残念だなあと思うだけです。

まとめれば、ストーリーに溺れてしまい、人物を描ききれずに終わってしまっているということで、たとえエンターテイメントであっても人物の心情に重点を置かないと薄っぺらくなるということだと思います。

源流を訪ねる旅に例えるならば、大河から渓谷の急流に遡っていくに従い、危機感や緊迫感で気持ちが締め付けられ、それゆえにこそ高揚感やわくわく感が生まれてくるような感覚を感じさせてほしいと思います。

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