…と言うよりも、エイミーをエイミー視点で描いた音楽映画…
2008年のグラミー賞で主要4部門のうち最優秀新人賞、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞の3部門を含む5部門を受賞したエイミー・ワインハウスさんの伝記映画です。ワインハウスさんは、2011年、27歳のときに急性アルコール中毒で亡くなっていますので27クラブのひとりと言われています。
エイミー・ワインハウス…
もともとはその名前とグラミー賞を受賞した「リハブ Rehab」くらいしか知らなかったのですが、2016年にアシフ・カパディア監督の「AMY エイミー」というドキュメンタリーを見ており、この映画がなかなかいい映画でしたので「バック・トゥ・ブラック」を買ったくらいです。
ちなみに、これ以外にもアルバム「Back to Black」の制作過程を描いたドキュメンタリーがもう1本あります。日本での劇場公開はなかったようです。
この映画が描いているのは、2003年にデビューアルバム「フランク」を発表したあたりからですので実質8年くらいの音楽活動ということになります。2006年にこの映画のタイトルになっている「バック・トゥ・ブラック」を含む同タイトルのアルバムを発表、そして2008年にグラミー賞で最優秀新人賞などを受賞しています。ただ、授賞式にはアメリカに入国できずにイギリスからの衛生中継で出演しています。その際の演奏は映画のものですが、発表の映像は本物だと思います。
伝記映画と言うよりも音楽映画…
エイミーを演じているのはマリサ・アベラさんという俳優さんです。イギリスでは「Industry インダストリー」というテレビドラマでよく知られた俳優とのことですが、日本での公開作では「バービー」の王女バービーを演じていたとあります。
このエイミーはよかったです。ほとんどの曲をアベラさんが歌っているそうです(詳しくは調べていない…)。しばらくはエイミー本人? と、そんなわけはないのですがそう思えるくらい堂に入っていました。似ている似ていないということではなく、また、憑依演技ということでもなく、努力のなりきり演技といった印象です。歌もソウルフルでとてもよかったです。
ただ、映画自体は演出面においてよくない評価もあるようです。
ざっと読んだところでは、エイミーの破滅的行動を本人の自己責任にし過ぎているということらしく、エミーが恋に落ち盲目的なっていく男性ブレイクや「Daddy’s Girl」とタトゥーを入れるくらい依存していた父親ミッチをいい人に描きすぎていると指摘する批評が見受けられます。それにパパラッチです。執拗につきまとうシーンがあるにはあるのですが、映画は批判的に描いているわけではないです。パパラッチはかなりひどかったようです。
おそらく映画の意図としては、あくまでもエイミーを本人目線で描こうとしているんだと思います。必然的に自己主張を描くことになりますので、外からは反抗的に見えたり、身勝手に見えたりするシーンが多くなります。
また、実際には超大物ミュージシャンだと思われますが、映画は一女性の生き様を描くことで貫かれており、ほぼ一般人の生活感覚のシーンばかりです。ファンが群がるようなシーンもありませんし、クラブで酔っ払っていても誰も気にもしないといったふうに描かれています。
そうしたエイミー本人の自己主張や生き様が音楽で表現されていく映画です。
サントラも2枚組ですのでやはり伝記映画というよりも音楽映画といったほうが正確でしょう。
音楽と男とアルコールの日々…
家族のパーティーのようなシーンから始まります。エイミー(マリサ・アベラ)と父親ミッチ(エディ・マーサン)のデュエットもあります。実際にも音楽一家だったらしく祖母は歌手ですし、父親は映画ではタクシードライバーで通していましたが後にジャズシンガーになったようです。
そして、プロダクションなのかレコード会社なのか、このあたりかなりわかりにくいのですが、とにかくアルバム「フランク」をリリースしてデビューを果たします。その成功でアメリカデビューが計画されますが、ステージパフォーマンスについてプロデューサー(かどうかはっきりしない…)と意見の相違があり、エイミーは自分の音楽は実体験から生まれたものだから変えたくないと主張して譲りません。それに、しきりに自分はスパイス・ガールズじゃないと言っていました。
そんなときパブでブレイク(ジャック・オコンネル)と出会い恋に落ちます。
これ以降は最後までブレイクとアルコール一筋、そしてちょっとだけ薬物の映画です。もちろんそれらのシーンが音楽で描かれていきます。
一旦はブレイクに恋人がいるために成就しなかった恋も、後日、ブレイクが恋人と別れたとやってきてふたりは結ばれます。しかし長くは続きません。ブレイクにはエイミーの思いが重すぎるということなんでしょう、元カノのもとに帰ってしまいます。
このとき生まれた曲が「Back to Black」です。暗闇に落ちていくみたいなニュアンスでしょうか。
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このあたりでアメリカ公演があったと思います。そして、再びブレイクとよりが戻ります。しかし、ブレイクは薬物中毒です。薬物はやらないというエイミーにオマエは酒とハッパ、オレは麻薬と言ってはばかりません。映画ではワンシーンしかありませんが、エイミーも麻薬に手を出すことになります。
ブレイクが暴行罪で逮捕され収監されます。ブレイクは面会に来たエイミーに、オレはカウンセリングを受けて再スタートする、別れようと告げます。
エイミーはアルコールに溺れ、パパラッチに追い回されます。そしてリハビリセンターに入院します。この体験から生まれたのが「リハブ」です。
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そして、2008年グラミー賞受賞、イギリスからの衛生中継で「リハブ」を歌います。
その3年後、エイミーはアルコール依存症とたたかっています。相変わらずパパラッチはエイミーを追い回しています。パパラッチはブレイクの新しい恋人に子どもが生まれたとエイミーを挑発するように告げます。エイミーは「ティアーズ・ドライ・オン・ゼア・オウン / Tears Dry on Their Own」を歌いながら室内に入っていきます。
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2011年7月23日、27歳で死亡しているのが発見されたとスーパーが入って終わります。
というエイミー・ワインハウスさんの音楽と男とアルコールで駆け抜けた8年間の映画でした。もしエイミー・ワインハウスさんを知らずにこの映画を見てもっと知りたいと思うのであれば、あわせて
も見たほうがいいとは思います。