女性蔑視じゃないか…、と書評に続き、またも書き過ぎたか… 石井裕也監督は日本の映画監督の中ではかなり多作な監督だと思います。2009年の「川の底からこんにちは」をメジャーデビュー作としますと、この「本心」まで15年間で14作撮っています。1年1本ペースです。それだけ評価が高く、あれこれ声がかかるということなんでしょう。本心 / 監...
不可解な大人たちの行動と、そして少女の眼差しの意味するもの… 2014年の「雪の轍」が196分、2018年の「読まれなかった小説」が189分、そしてこの「二つの季節しかない村」が198分、3時間超えが当たり前のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督です。それだけの時間を掛けないと描けないものがあるということなんでしょうが、それが何なのかを見つけ出すのが難しい監督では...
青春ものとしてはクリアさに欠け、社会批判ものとしては煮えきらず、方向性に迷ったのかも… 空音央監督、「そら ねお」と読むそうです。1991年生まれとありますので33歳くらいの方です。坂本龍一さんの息子さんなんですね。この映画は今年2024年のヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門に出品されています。受賞はなかったようです。...
CODAの話ではなく、五十嵐大の半生記、あるいは青春放浪記みたいなもの… コーダ(CODA)という言葉を、またそれが Children of Deaf Adults の頭文字を取った言葉であり、両親、またはそのどちらかが聴覚障害者の子どものことだと知ったのは2022年のアカデミー賞作品賞を受賞した「コーダ あいのうた」です。ぼくが...
ドラマはほぼすべて創作だと思うがザイア・ジウアニさん本人のすごさは伝わる… 現在46歳、実在のフランスの音楽家、指揮者のザイア・ジウアニさんの17歳から20歳くらいまでを描いた映画です。女性の指揮者というだけではなく、若干20歳にして自らのオーケストラ、ディベルティメント管弦楽団を立ち上げています。パリのちいさなオーケストラ / ...
「二作目を期待しますが、撮らないかもしれませんね」と書いたけど、撮りましたね… 「僕はイエス様が嫌い」の奥山大史監督、その映画を見たのはちょうど5年前です。レビューを読み返してみましたら「びっくりするくらい映画がまとまっています。若いのに老成という言葉まで浮かんで」くるとまで書いています。それに「二作目を期待しますが、撮らないかもしれませんね」とも...
パキスタン系イギリス人のムスリムたちはどんだけ裕福なんだ?… え?! こんな映画だったの?映画.comの「ムスリムの姉妹を活写したイギリス初の青春バトルアクション」だけが目に入り、面白いかもと見に行った自分のせいです(涙…)。ポライト・ソサエティ / 監督:ニダ・マンズールボリウッドかと思った…予想していた...
この映画は「安倍公房」的ではなく「石井岳龍」的なるもの… 「“あの”悲劇から27年―」ってなんのことかと思いましたら、そんなことがあったんですね。箱男 / 監督:石井岳龍映画化してはいけない原作…「箱男」映画化の企画は、27年前の1997年に一度日独合作で製作が始まったもののハンブルクでのクランクイン前日に日本側の...
YOIHI PROJECTからの劇場映画第2弾「プロミスト・ランド」なんだけれど… 「せかいのおきく」と同じYOIHI PROJECTからの第2弾劇場映画「プロミスト・ランド」です。『YOIHI PROJECT』の映画、ドキュメンタリーのテーマのひとつは、日本人が古来から大切にしてきた「自然との共生」です。世界が生物圏に負荷をかけず、自然を増やし...
アメリカ映画のアクションものはつまらない(ゴメン…)… デヴィッド・リンチ監督はそれなりに見ていますが、デヴィッド・リーチ監督は初めて見ます。それにジャンルとして、最近はほとんど見ないジャンルですのでなにか語る言葉も持ち合わせていません。なんとなくポチッとした映画です。フォールガイ / 監督:デヴィッド・リーチ書くことが何...
ボレロ、ラヴェル、二兎を追うものは一兔をも得ずか… モーリス・ラヴェルの伝記ものです。監督はアンヌ・フォンテーヌさん、私が過去に見ているのは「夜明けの祈り」ですが、「ココ・アヴァン・シャネル」のほうがよく知られているかもしれません。ボレロ 永遠の旋律 / 監督:アンヌ・フォンテーヌラヴェルと言えばボレロだが…タイト...
エトルリア古代文明幻想に見立てたラブストーリー、あるいは逆でノスタルジックファンタジーかも… 「夏をゆく人々」「幸福なラザロ」のアリーチェ・ロルヴァケル監督です。この「墓泥棒と失われた女神」には「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーさんが主演俳優として出演しています。墓泥棒と失われた女神 / 監督:アリーチェ・ロルヴァ...
実の父娘で描く薬物依存にさよならを告げるロードムービー… ユアン・マクレガーさんが実の娘クララ・マクレガーさんと父娘役で共演したという映画です。監督はこれが初の長編映画というエマ・ ウェステンバーグさん、1990年生まれですから34歳でしょうか。ブリーディング・ラブ はじまりの旅 / 監督:エマ・ウェステンバーグ薬物依存か...
美しきタイ ナコーンパノムと美しくもほろ苦きユーとミーの青春物語… タイ映画です。タイトルや画像のとおり、双子のユーとミーのちょっとほろ苦い青春物語です。高校生の年齢設定だと思います。制作会社は「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」や「ハッピー・オールド・イヤー」のGDH559です。この会社の映画はどれもレベルが高いです。ふたごの...
ボストン行きまでが長ーい長ーい前置きに感じられる… 「サイドウェイ」や「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」では味のある大人の映画を撮る監督だと思っていたのが、前作ではなんとも奇妙なSFファンタジー「ダウンサイズ」で大失敗(個人の意見です…)というアレクサンダー・ペイン監督です。ただそれももう7年前、久しぶりという感じがします。ホー...
フィリップを演じているエリック・クルム・ジュニアさんがすごい… 映画の紹介文からの刷り込みや画像からの印象を捨てて見ますとこれがなかなかすごい映画なんです。まずは「ナチスの妻たちを次々に誘惑」とか「ナチスへの復讐」という言葉を忘れましょう(笑)。フィリップ / 監督:ミハウ・クフィェチンスキ1941年、ワルシャワ・ゲットー...
はたしてこの映画でフランスでの黒沢清監督の評価の高さを感じられるか… 1998年の黒沢清監督自身による「蛇の道」のセルフリメイクなんですね。知りませんでした。それにしても黒沢清監督はフランス(ヨーロッパかな?…)での評価が高いですね。不思議です(ゴメン…)。[aal B08HJRSX4P]蛇の道 / 監督:黒沢清コ...
本編とは異質なルース・ハンドラーとのダイアログがグレタ・ガーウィグ監督の本音か… グレタ・ガーウィグ監督ですので興味はあったんですが、なんとなく見そびれてしまいDVD視聴になりました。それにしても大胆な映画を撮ったものですね。フェミニズム的にはどっちからも批判されそうな映画です。バービー / 監督:グレタ・ガーウィググレタ...
「レ・ミゼラブル」ほどのリアリティもダイナミズムも感じられず… ラジ・リ監督の長編2作目「バティモン5」です。前作「レ・ミゼラブル」のレビューには「これだけのリアリティを持ちながら、これだけのダイナミズムが感じられる映画を久しぶりに見ました」と書いています。バティモン5 望まれざる者 / 監督:ラジ・リ同じ監督の映画とは思...
松居大悟監督、「衝動」の見上愛さん、そして前田敦子さん、3つ揃いましたので… 「君が君で君だ」の松居大悟監督、「衝動」を見て記憶している見上愛さん、そして今や名前をみたら見ようと思う(笑)前田敦子さん、興味深い名前が3つ揃いましたので見てみましたら…不死身ラヴァーズ / 監督:松居大悟マンガでした(笑)…とにかく、...