ハリウッドにしてはメリハリ不足。実話にとらわれ過ぎ? なぜ今この題材? という感じがする「フォード vs フェラーリ」です。結局映画は、1966年のル・マン24時間レースにおいてフォードがフェラーリに一矢報いるという内容でなんですが、そのどちらも現在はル・マン24からは撤退していますし、題材自体に現代性が乏しい感じがします。と、思いましたが、ウィキペディアを読み...
実話ベースの音楽ものはテッパン! 実話ベースのサクセスストーリーで音楽ものとくれば鉄板でしょう。イギリス、ポート・アイザックの漁師たちのバンド「フィッシャーマンズ・フレンズ」がメジャーデビューし、全英チャートトップ10入りを果たすまでの物語です。2010年に発売されたこのCDがそれです。Port Isaac's Fisherman's Friends...
オリヴィエ・アサイヤスが描く大人のフランス人のノンフィクション(みたいな話) 先日見た「パリの恋人たち」もそうですが、フランス映画には叙情的な邦題をつければ客が増える法則でもあるのでしょうか(笑)。もちろん客が入らなければ映画も見られなくなるわけですからそうした努力なんだろうとは思いますが、それにしてもこの「冬時間のパリ」は下のチラシのような内容の映画ですよ。...
階級社会ではなく格差社会の悲哀と悲劇 昨年2019年のカンヌパルムドール受賞作です。このところの映画界(特に日本?)では、「格差社会」という言葉がこの時代を写すキーワードのように語られていますが、この映画こそはまさにそのものズバリの映画です。それは、現代が「階級社会」ではなく「格差社会」だという意味においてもです。パラサイト 半地下の家族 / 監督:ポン...
ルイ・ガレル、映画で戯れる ルイ・ガレルさん、無茶苦茶楽しんで映画つくってます。公式サイトにある「フランス映画界きってのサラブレッド」という枕詞(的な)がフランスでも言われていることかどうかはわかりませんが、こういう(映画の)センスには二世、三世という環境が大きく影響しているように思います。パリの恋人たち / 監督:ルイ・ガレルどの国にも様々な価値観...
映画は俳優がつくる。田中裕子、佐藤健、佐藤亮平、松岡茉優 俳優でもっている映画でした。田中裕子さん、佐藤健さん、鈴木亮平さん、松岡茉優さん、特に兄弟妹三人、それぞれの人物設定はステレオタイプであっても、映画のシーンとしてはとてもよいバランスでした。ひとよ / 白石和彌白石和彌監督の映画は、デビュー作(かな?)の「ロストパラダイス・イン・トーキョー」から...
ストーリーを語るだけでは感動ものにもならない 平山秀幸監督と聞きますと、どうしても「愛を乞うひと」の、あの激烈な原田三枝子さんの演技が浮かんでしまい、期待値が高くなってしまいます。とは言っても、それ以降は「しゃべれども しゃべれども」「信さん・炭坑町のセレナーデ」くらいしか見ておらず、なかなかシリアス系のものにであう機会がありません。この「閉鎖病棟 それぞれの朝...
ブルーアワーも見られず、ぶっ飛ばしてもおらず 「TSUTAYA CREATORS'PROGRAM(TCP)」の2016年審査員特別賞受賞作の映画化です。TCPのリンク先を見てみますと、今年から企画、監督、脚本と3部門に別れたとありますので、この作品の頃は企画だけなのか、脚本付きなのか、どちらにしても部門なしの審査だったのでしょう。グランプリが1作品、準グランプリが...
同性愛カップルの話ですが、物語もつくりも乱暴ですねぇ… 子どもが欲しい男女それぞれふた組の同性カップルが取った行動の顛末を描いた台湾映画です。日本でも報道されましたが、台湾では今年の5月17日に同性婚を合法とする法律が可決されています。台湾、同性婚認める法案を可決 アジア初 - BBCニュースバオバオ フツウの家族 / 監督:謝光誠 シエ・グアンチェン...
北欧の妖精トロールをめぐるダーク・ファンタジー 「ぼくのエリ 200歳の少女」を前面に出した宣伝がされていますが、それ系ファンタジーを期待していきますと、ちょっと戸惑うかもしれません。ファンタジーはファンタジーでも、視覚的にも内容的にも、こちらはかなりダークです。もっとも、「ぼくのエリ」にしても本質的にはダークな映画ではありますが。ボーダー 二つの世界 /...
ネタバレ ヴァネッサ・パラディがマチューと父と結婚したって!? 映画内容は公式サイトのストーリーを読めばおおよそ想像がつくと思いますが、その想像以上のものはありません(ペコリ)。パリに見出されたピアニスト / 監督:ルドビク・バーナードそのストーリーから概要です。パリの主要ターミナル北駅。「ご自由に演奏を!」 そう書かれたピアノに向かう一人の青年、...
人種差別の複雑な内面化を描く 差別のある社会において、いや、もちろん、現在のところ、そうじゃない社会があるのかと言われれば悲観的にならざるを得ないわけですから、どんな社会においてもということになるのですが、ひとつは、差別する側に属する者は差別される者にどう対したらいいかという話、そしてまた、もう一方の差別される側に属するものは、差別する側の者が自分には差別意識はない...
人の心情を描かずして悲劇は描けるか 原題は単に「Petra」なのに、「ペトラは静かに対峙する」なんて邦題をよく考えついたものだと思います。それだけ配給の担当者の思い入れが強いということなんでしょうか。監督は、現在49歳くらいのスペインのハイメ・ロサレス監督、公式サイトによりますと日本での公開は初めてですが、2000年代から活躍されており、本作で6作目とのことです。...
ホセ・ムヒカ元大統領も登場するモキュメンタリー こういうタイトル付けに象徴されるおバカ系(を思わせる)映画は結構趣味なんですが、これはちょっとシラフ(笑)で見て大笑いするのは無理ですね。ハッパGoGo 大統領極秘指令 / 監督:デニー・ブレックナー, アルフォンソ・ゲレロ, マルコス・ヘッチ企画は面白いけれども映画の作りに乗り切れないということかと思い...
マイク・リー監督の関心は歴史ものに移っている? マイク・リー監督、前作の「ターナー、光に愛を求めて」あたりから、興味の向く先が歴史ものに変わっちゃったんですかね。それに、そのターナーにしてもこのピータールーにしても、映画化するまでは知らなかったと語っているようです。ピータールー マンチェスターの悲劇 / 監督:マイク・リー私の見てきたリー監督の映画、「...
豊川悦司、妻夫木聡、ニッキー・シエがかわいそう フィルム・ノワール系が狙いなんでしょうが、これはかなり厳しい出来ですね。監督は、「雨にゆれる女」の半野喜弘さん、音楽家としてのキャリアは長く、ジャ・ジャンクー監督やホウ・シャオシェン監督の音楽を手掛けている方です。映画では前作の「雨にゆれる女」が長編デビュー作で、この「パラダイス・ネクスト」が二作目です。パラ...
奥山大史監督、サンセバスチャン国際映画祭新人監督賞受賞作 奥山大史(ひろし)監督、現在23歳、この映画を撮ったのは青山学院大学(映画美?)の卒業制作だそうです。それにしてもびっくりするくらい映画がまとまっています。若いのに老成という言葉まで浮かんできます。僕はイエス様が嫌い / 監督:奥山大史フィックスが多いせいもありますが画が上品ですし光の使い方もう...
内なる殺人鬼妄想に苦悩するラース・フォン・トリアー トリアー監督(呼びかけ)、飛行機恐怖症ということはわかりますが、一度、ヨーロッパ以外の非キリスト教圏に長期滞在してみたらどうですか? 列車で行けますし、それに、もしすでに経験されているのであれば、さらにその倍の期間行ってみてはどうですか。ハウス・ジャック・ビルト / 監督:ラース・フォン・トリアーこれ...
音楽に、父は夢を見、娘は現実を見る 過剰なもののない見ていて気持ちのいい映画です。クライマックスのライブシーンは泣けます。ただ、あまり深いものを求めてはいけません。ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた / 監督:ブレッド・ヘイリー娘のサムをやっている上の画像の女性、何かで見た記憶が…、と思いながら見ていたのですが、「さよなら、僕のマンハッタン」でミミ...
原題は『母の日』母の話ではあっても家族の話ではない 5月の「母の日」の前に公開するという選択は、あえて避けたということなんでしょうかね。そうだとしたら、その理由は何なんでしょう?この映画、原題が「母の日」であるだけでなく、内容も「母の日」をキーワードにした「母(となることも含め)という存在との関係に苦悩する女性たち」をテーマにした映画なんですが、「働く女性の幸せ探...