主役はモダニズム建築? ジンとケイシー? 「モダニズム建築の街コロンバス」を背景に、二人の男女がそれぞれの人生におけるひとつの決断をくだすまでの姿が描かれていく映画です。コロンバス / 監督:コゴナダそもそも「モダニズム建築の街コロンバス」という街を知りませんでしたのでいろいろググってみたんですが、まずアメリカにはコロンバスという街が5ヶ所もあるんです...
映画としての視点が定まらず、コトの成り行きしかみえず 最後まで何をやろうとしているのかわからない映画でした。見終えた後、原作の書評などを読んでみましたら、え? そういう話だったの!? とびっくりしましたので、見られる方は原作を読んでからのほうがいいかもしれません。影裏 (文春文庫)作者:沼田 真佑出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/0...
日本映画には珍しい(?)センスの良さが光る こういう映画を撮れる監督が日本にもいるというのはうれしいですね。こういうというのは、現実社会に積極的に関わろうとし、それをきっちりドラマと仕上げることができ、そしてなにをおいてもセンスがいいという映画です。もちろん他にいないというわけではありませんが、日本映画でこういう外に開かれた映画は少ないとは思います。社会全体が内...
この映画には俳優モトーラ世理奈ではなくハルがいる 10年という時の流れを経てもなお癒やされない悲しみを俳優の演技だけで表現することはかなり難しいことだと思います。それをやってのけたのがモトーラ世理奈さんであり、監督の諏訪敦彦さんです。東日本大震災のことです。ラスト、亡くなった家族へ「風の電話」をするハル=モトーラ世理奈、10分か、15分か、カメラはそのハルをアッ...
労働者よ、もっと怒れ!とケン・ローチ監督は言っている ケン・ローチ監督はもともと策を弄するような映画は撮らない直球勝負の監督ですが、前作の「わたしは、ダニエル・ブレイク」からさらにその傾向が強まり、この映画では行くところまで行っている感じがします。言い方を変えますと、ケン・ローチ監督、前作にも増して心の底から怒っています。家族を想うとき / 監督:ケン・ロ...
エンタメ映画の王道でシリーズ化をねらう? 特に何かを期待して見るような映画ではなく(批判ではない)、映画の楽しみ方のひとつとしてはありかなという映画です。笑いの要素がやや不足してはいますが、全体としては楽しめます。個々の俳優を見る映画でもあります。カツベン! / 監督:周防正行と言ったことよりも、この映画の企画がどういう形で生まれてきたか興味がありま...
イザベル・ユペール恐るべし! イザベル・ユペール恐るべし!そういう映画です。タイトルも「グレタ」ではなく「イザベル」でいいと思います(笑)。とにかく、映画がどうこうよりも、イザベル・ユペールさん、無茶苦茶楽しんでるやんと言うしかありません。軽やかにダンスしながら探偵を撃ち殺すところなんて、もう、笑うしかありません。グレタ / 監督:ニール・ジョーダン...
ジャ・ジャンクー監督、「青の稲妻」「長江哀歌」、そしてどこへ? 2001年から2017年という17年間の時代の変化を背景にした男と女の、ではなく女と男の愛の変遷、言い換えれば女と男の意地の張り合いが描かれます。前作の「山河ノスタルジア」も1999年に始まり、2014年、そして2025年と2000年代を時代背景としていましたので、およそこの20年が、中国という国の変...
作家役のリリー・ジェームスが好印象 映画らしい映画、というのも変ですが、構成がしっかりしていますし、謎解きあり、恋愛ありで、最後はちょっと収め過ぎくらいにきっちりオチがついています。映画の原題「The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society」と同名の原作があります。 ガーンジー島の読書会 (上)作者...
R18+の大人のアニメかも?と思う男の妄想ファンタジー 後半に入り、そろそろ結末やなあ、どうするんだろう? と思っていましたら、ん? 何だって? ジョーク? え!? マジ!みたいな思わぬ展開に、そういう話だったのねと、そもそもの男女ファンタジーに、60年代(70年代?)的四畳半ファンタジーが加わり、妙に納得できる映画でした。火口のふたり / 監督:荒井晴...
グリーンランド、人口80人の村の実在の人々が演じるドラマ グリーンランドの物語です。といっても、そもそものグリーンランドの位置をイメージしようとしても、北欧の…アイスランドの…と、(私は)その程度の曖昧さで終わってしまいます。その意味では、こういう映画は、それを機にいろいろ調べたりすることを含めて、知らないことを知るいいきっかけになるかと思います。北の果て...
映画というよりビデオアートと思って見たほうがいい 「あまりに衝撃的な内容に各国の映画祭で途中退場者続出!」と煽っていますが、もしそれが本当だとすれば、それは映画がつまらないからでしょう。カニバ / 監督:ヴェレナ・パラヴェル、ルーシァン・キャステーヌ=テイラーつまらないというのも正しくないかもしれません。まず、この映画、たとえば、カニバリズムであると...
人の生きざまは俗なものと裏腹の無常なり これ、面白いですね。チャン・リュル監督、知りませんでした。1962年生まれの中国籍の朝鮮族で、経歴は公式サイトの Director に詳しいです。アジアフォーカスや東京では上映されているようです。慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ / 監督:チャン・リュル一見、ホン・サンス監督を思わせるところもありますが、比べたら...
西部劇がヒューマンドラマに変わる時 ジャック・オーディアール(オディアール)監督が西部劇? という感触を持っていたのですが、見てみれば、確かに、なるほどとも思える一風変わった西部劇でした。ゴールデン・リバー / 監督:ジャック・オーディアールオーディアール監督は、ハリウッドで撮るのも、英語で撮るのも初めてとのことですが、経緯は、この映画の主演でもあるジ...
ネグレクトを愛情視点で描いていいものか? まためんどくさい映画を見てしまいました(笑)。これが今の話なら、完全に児童虐待でアウトです。それをこんな脳天気な父娘の愛情物語に描くなんて、いくら1970年代の話だとしても、映画にするならもう少し考えるべきかと思います。もうこんなブラックな家族ファンタジーはやめましょうよ、という映画です。ガラスの城の約束 / 監...
描かれるのは、戦前日本 対 戦後日本? こういう映画のほうが危ないかもしれませんね。東宝の戦争(賛美?)映画かと恐る恐る(笑)見に行きましたら、キノフィルムズの製作で、内容も、日本の離島が国籍不明の武装漁船団に占領され、航空機搭載型護衛艦いぶきを旗艦とする第5護衛隊群が派遣され、専守防衛の一線を越えるか越えないかのギリギリのところで相手の攻撃に対処していくという物...
キーラ・ナイトレイの演技とやさしい演出でよき人コレットに シドニー=ガブリエル・コレットさんの半生を描いた映画です。ウィキペディアによりますと、1873年生まれ、1893年(20歳くらい)に結婚し、1906年(33歳くらい)に離婚とありますので、その間の13年間くらいが描かれていることになります。コレット / 監督:ウォッシュ・ウェストモアランド公式サイ...
100%騙されて、ああ今日も騙されたとしあわせな気持ちで帰路につく メラニー・ロラン監督の「ガルヴェストン」を見る予定が急遽変更、「コンフィデンスマンJP」を見ることになりました。理由はいたって簡単、ちょっとした時間の行き違いです(笑)。朝のテレビで長澤まさみさんを見たことも理由のひとつです。番宣も有効との事例ですね。以下、しょうもないことしか書いていません。...
巨大スーパーマーケットの通路に東西ドイツ統一後の人々の悲哀が満ちている 希望の灯り? 似たようなタイトルの映画、あったよなあ…。ああ、アキ・カウリスマキ監督の「街のあかり」「希望のかなた」だ。って、これはひょっとして配給の戦略(笑)?まあ、原作が収録されている短編集のタイトルが『夜と灯りと』だからということもあるのでしょうが、タイトルだけではなく、台詞や編集の間合...
聖人を思わせるラズロの澄んだ瞳があっての映画 この映画、しばらく前に見たのですが、なんとなく書くポイントが定まらずそのままになっていました。前作の「夏をゆく人々」に比べれば、この「幸福なラザロ」はかなり明快なんですが、それでも、なんと言うのでしょう、これは決して批判的に言うのではなく、映画がぼんやりしている感じがします。幸福なラザロ / 監督:アリーチェ・ロ...