ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌

オペラの映画化で一番やってはいけないパターン

この映画の配給会社は映画の内容を偽って売ろうとしているんじゃないかと思っちゃいますね。不当表示に引っかかりませんかね。

ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌 / 監督:レイン・レトマー

オペラの映画化で一番やってはいけないパターン

まあ怒りはともかく、これはミュージカルではありません。

「唯一無二の音楽体験に、胸震える!大胆なアレンジと独創的な映像美でミュージカルに生まれ変わったオペラ 最高傑作をスクリーンで!」

なんて謳っており、胸が震えるかどうかは人それぞれですので震える人は震えるかも知れませんが、大胆な…以下は偽りです(個人の意見です…)。アレンジされていませんし、独創的な映像美ではありません(個人の意見です…)し、ミュージカルではありません!

プッチーニの「ラ・ボエーム」をそのまま現代のニューヨークで歌っているだけです。現代のニューヨークに置き換えているわけではありません。くどいようですが、現代のニューヨークで歌っているだけです。

相当怒ってますね(笑)。

いや違うんです。これをミュージカルと称して売るなんてことをしていたら、ミュージカルやオペラを敬遠する人が増えるだけだということです。ミュージカルやオペラに対して、そしてまた映画に対してもですが、罪作りなことをするものです。

プッチーニの音楽をそのまま使っています。それもオーケストラではなくピアノ伴奏でです。歌詞もそのままイタリア語です。ミミもロドルフォもムゼッタもマルチェッロも、そのままの名前です。

物語もそのままです。現代のニューヨークの屋根裏部屋で画家や詩人が燃やす薪がないと言って寒さに震えています。お針子のミミが蝋燭を持って火を借りに来るのもそのままです。

マジかー!

さらにです。音楽はすべて別撮り(先撮り…)で俳優(音楽家…)は口パクで演技しています。パンデミック下の設定らしくマスクをして歌っているシーンもあります。考えられない演出ですが、どうせ口パクだからいいだろうということでしょう。

とにかく、始まっていきなりロドルフォがいわゆる声楽歌唱で歌い始めたのには引っくり返りそうになりました。

えー! ミュージカルじゃないのかよー?!

メインキャラクターにアジア人と言いながら…

ミミはビジョー・チャンさん、ロドルフォはシャン・ズウェンさんという、どちらも中国系かと思われる歌手が演じています。

公式サイトでも「メインキャラクターにアジア人を据えるなどの大胆なアレンジ」などとうたっています。

なのに宣伝用のメインビジュアルにはムゼッタを演じているラリサ・マルティネスさんのシーンを使っています。どういう意図なんでしょうね(涙)。

宣伝手法は製作会社の意図ではなく配給会社のものだと思いますが、宣伝手法は契約条件に入れないんでしょうかね。製作はモアザンミュージカル 長谷川留美子さん、香港を拠点にしたオペラカンパニーとあります。オペラ公演の制作会社なんでしょうかね。

ラ・ボエームの現代化なら「レント」がありますやん

ラ・ボエームの現代化は「レント」でいいと思います。

もちろんプッチーニの音楽ではなく、オリジナルのミュージカルです。そのままの現代化ではありませんがこれでいいと思います。舞台も某所で見ましたが「La Vie Boheme」なんて楽しい曲です。

※スマートフォンの場合は2度押しが必要です

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とにかく、オペラは音楽ですので、そのままやるのであれば、また、映画にするのであれば、きちんとオーケストラの舞台を撮るという METライブビューイングが一番だと思います。