三人の人物描写が浅いけれど、メロドラマとしてはほど良いところかも。?な邦題もぴったりか?
「東ベルリンから来た女/クリスティアン・ペッツォルト(クリスティアン・ペツォールト)監督」の最新作ですね。
1945年6月ベルリン。元歌手のネリーは顔に大怪我を負いながらも強制収容所から奇跡的に生還し、顔の再建手術を受ける。彼女の願いはピアニストだった夫ジョニーを見つけ出し、幸せだった戦前の日々を取り戻すこと。顔の傷が癒える頃、ついにネリーはジョニーと再会するが、容貌の変わったネリーに夫は気づかない。そして、収容所で亡くなった妻になりすまし、遺産を山分けしようと持ちかける。
「夫は本当に自分を愛していたのか、それとも裏切ったのか――」。その想いに突き動かされ、提案を受け入れ、自分自身の偽物になるネリーだったが・・・。
この映画は、見終わってから疑問に思うことが多すぎます。
顔が変わったからといって妻が分からないことはないだろうなんてことは、それを言ったら映画じゃなくなってしまいますので、それは置いておいても、大きな疑問のひとつは、レネ(ニーナ・クンツェンドルフ)の存在です。
レネの自殺があまりにも唐突です。
深読みすれば、ネリー(ニーナ・ホス)に対する恋愛感情ということになりますが、仮にそうだとしても、映画が何も語っていないものを深読みしても無意味でしょう。
そしてもう一つの大きな疑問は、ラストに再会する友人たちです。
夫であるジョニー(ロナルト・ツェアフェルト)にも分からないくらい顔が変わっているネリーをどうして彼らはネリーと分かったんでしょう?
皆が駅で待ち受けるわけですから、誰かが、ネリーが顔が変わった状態で帰還すると伝えたと考えるべきでしょうが、そうしますと、今度は、ネリーが「スピーク・ロウ」を歌った時の表情がよく分からなくなります。
彼らは、ジョニーの呆然とした表情と全く同じ表情をしていたのです。彼らもジョニーとグルだった? そこまで深読みしたら違う映画になってしまいます(笑)。
まあ、いずれにしても、三人共に心の揺れが読み取れない一本調子の映画でした。