全編、オルガ・キュリレンコの魅力とエンニオ・モリコーネの叙情的旋律を楽しむ映画
ジュゼッペ・トルナトーレ監督、結構見ていますね。
「ニュー・シネマ・パラダイス」は DVDを含めれば何度も見ていますし、意外と好きなのは「マレーナ」で、シチリア島ののんびり感(知らないけれど)とモニカ・ベルッチの悩殺ボデーのアンバランス感といいますか、逆に不思議なおさまり感といいますか、いい感じの映画でした。
この監督、シチリアを舞台にするとノスタルジック感ただよう映画になるのですが、この「ある天文学者の恋文」は、もう一方のタイプ「鑑定士と顔のない依頼人」系の映画のようです。
著名な天文学者エドと教え子エイミーは、皆には秘密の恋を謳歌していた。そんなエイミーの元に突然届いたエドの訃報。現実を受け入れられないエイミーだが、彼女の元にはその後もエドから手紙やメールや贈り物が届き続ける。エイミーは彼が暮らしていたエディンバラや、かつて二人で過ごしたサン・ジュリオ島などを辿りはじめ、そこで彼女が誰にも言えずにいた過去を、エドが密かに調べていたことを知る―。(公式サイト)
もともと、堂々と男目線の映画を撮る監督だと思いますが、この映画も、深読みすれば、何とも女性にとっては残酷な話で、親子ほど年の離れた男が、女に、自分が死んでも愛し続けてくれという映画です(笑)。
いきなり感動モノ映画の涙を止めてしまうような書き出しになってしまいましたが、極めて自然に感動できる映画ですし、さすがイタリア映画という隙きのないつくりですし、残酷とは言っても、最後にはきちんと救いを入れていますので安心してみてください(笑)。
映画としては、いろいろあるにしてもあらすじ以上のことに大きな比重を置いておらず、すでに亡きエド(ジェレミー・アイアンズ)からのメールや手紙や動画に翻弄されつつも、宇宙に包まれるが如く愛を感じる(かな?)エイミーを追い続けた映画で、完全にオルガ・キュリレンコさんの映画です。
デビュー作である「薬指の標本」以降何も見ていませんが魅力的な俳優さんです。悲しみを求められるシーンばかりでしたが、どれもいい表情でした。
こういう映画は、あれやこれやツッコミを入れても仕方ありませんので、素直に、こんなに愛されたい、こんなに愛したいと、我が身と比べつつ布団をかぶって寝てしまうにかぎります。