ボスニアの炭鉱、地下300メートルで働く坑夫たち
「鉱」あらがね、って読むんですね。
ボスニア・ヘルツェゴビナの炭鉱地中深く300メートルの坑道にカメラを持ち込んで撮ったドキュメンタリーです。2015年の山形国際ドキュメンタリー映画祭でアジア千波万波部門特別賞を受賞しているそうです。
監督の小田香さん、まだ30歳ですか。「2013年、映画監督のタル・ベーラが陣頭指揮するfilm.factory (3年間の映画制作博士課程)に第1期生として招聘され、2016年に同プログラムを修了」とあります。
監督:小田香
ボスニア・ヘルツェゴビナ、首都サラエボ近郊、100年の歴史あるブレザ炭鉱。荒涼とした地面の上に無造作に置かれた、汚れと錆びにまみれた巨大な重機が炭鉱の存在を知らせる。坑夫たちは黙々と昇降用ケージに乗り込み、地下深くの暗闇に消えていく。そして坑夫たちが降り立った地下300メートルの場所には、ただただ深い闇が広がっていた。(公式サイト)
公式サイトのデッカイ画像と下のコピーにやられて、最近はあまり夜遅く出歩かないのですが、8時から(遅くないか(笑))の上映に出掛けました。
率直に書きますと、これを撮ったことはすごいと思いますが、「地下300メートルの異空間」自体があまり伝わってこないです。
カメラのせいじゃないですかね。
撮影も小田香監督になっていましたし、公式サイトの監督プロフィールの画像を見ますとキャノンの一眼レフで撮っているようです。レンズによるのかとも思いますが画に奥行きが感じられませんでした。
坑道を結構長い時間をかけて降りていくシーンがあり、トロッコに乗った坑夫の後ろから線路と暗闇の坑道を捉えているのですが、地中へ落ちていく感じがしないんですよね。
とにかく全体的に画がスチールっぽく平面的に感じられます。
それに、構成力に関わる問題ですが、何を撮ろうとしているのかもはっきりしません。確かに、そこには使い古された機械があり、暗闇があり、坑夫たちが働いており、石炭が掘り出されていく、その事実はあるのですが、見ている途中から、それで?という気持ちが湧いてきます。
ただ、音は、ノイズですが、かなり意図的に構成されていたように感じます。おそらく同録だけではなく、別のノイズをのせていると思います。
字幕をつけている会話とつけていない会話の意図もよく分かりませんでした。
期待が大きかっただけにかなり厳しいレビューになってしまいました。