もっと超越した所へ。

もっと超越した映画を。

「月刊「根本宗子」」という本人名を劇団名にしている劇作家、演出家、脚本家、女優の根本宗子さんの舞台作品の映画化です。映画化のシナリオも根本さん本人が書き、監督は山岸聖太さんという方です。

もっと超越した所へ。 / 監督:山岸聖太

演劇的な、あまりに演劇的な

なぜ映画にしようとしたんでしょう、あまりに演劇的な内容です。舞台を見ているわけではありませんが、おそらく舞台作品として完結しているでしょう。

これは生身の人間が目の前で演じて初めて面白さが出る作品であって、映像に固定化することでそれ以上の面白さが生まれるとは思えません。

実際、おもしろくありません。

4組、8人の男女が極めて個人的な会話をしているだけです。舞台であれば、どんなにつまらない会話でも生身の人間の一度きりの間合いでおもしろくもなれば、緊張感を生み出すこともできます。その間合いを映像に固定してしまえば、会話の意味するところは何か、何を伝えようとしているのかなどと、途端に舞台作品に求められることとは異なった意味を求められることになります。

早い話、緊張感のない個人的会話を延々見せられてもおもしろくはありません。それぞれ二人の組み合わせが過去には別の組み合わせであったとしても、意味のない組み合わせの交換だけでは映画になりません。

なぜ組み合わせが変わったのかが映画がこだわるべき領域です。

前田敦子さんじゃなくてもいいんじゃないの…

見に行ったのは前田敦子さんだからなんですが、これなら別に前田敦子さんでなくもいいんじゃないのと思います。

俳優は皆うまいです。でも舞台じゃないですのでさほど難しいことじゃないでしょう。

クズ男でもいいってのは何の逆説?

それにしても、4人ともにクズ男でもいいって終わっていましたが、何の逆説なんでしょう。

まさかそのまんまの意味じゃないですよね(笑)。