パウラ・ベーアさんを見ようといってみたものの、映画がねえ…
ナチスものの映画はもういいかなと思いつつも、パウラ・ベーアさん主演ですので見てみました。監督は「ぼくは君たちを憎まないことにした」のキリアン・リートホーフ監督です。
映画は、んー…です。
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パウラ・ベーアという俳優…
映画は書くことがありませんので(ゴメン…)後にして、まずパウラ・ベーアさんです。
最初に見たのはフランソワ・オゾン監督の「婚約者の友人」です。
2017年ですからもう8年前になります。撮影時は20歳くらいなんですがとても大人っぽい雰囲気で映画的にも存在感があり記憶に残る映画でした。1995年生ですから現在30歳くらいです。
次に見ているのはクリスティアン・ペツォールト(クリスティアン・ペッツォルト)監督の「未来を乗り換えた男」で、これは出番が少なくちょっと残念ではありますがそれでも印象に残る存在感でした。
映画は現代のパリの街並みそのままの中でナチス・ドイツがパリに侵攻した1940年の物語をやっているというとてもシュールで面白い映画でした。主演のフランツ・ロゴフスキさんがとてもよかったです。
そして、この「ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」でも宣伝コピーに使われている「水を抱く女」、これもクリスティアン・ペツォールト(クリスティアン・ペッツォルト)監督です。
水の精ウンディーネを題材にしたラブ・ファンタジーです。共演はフランツ・ロゴフスキさん、クリスティアン・ペッツォルト監督は二人を気に入っているんですね。
というパウラ・ベーアさんを主演にした「ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」は一体どうだったんでしょう…。
素人が玄人の真似をしてみたような…
1940 年 8月、ベルリン。18 歳のステラ・ゴルトシュラーク(パウラ・ベーア)は、アメリカに渡りジャズシンガーになることを夢見ていたが、ユダヤ人の両親を持つ彼女にとって、それは儚い夢だった…。3年後、工場で強制労働を強いられていたが、ユダヤ人向けの偽造パスポートを販売するロルフと出会い、恋に落ちると、同胞や家族が隠れて生活する中、ロルフの手伝いをしながら街中を歩き、自由を謳歌していた。しかし、ゲシュタポに逮捕されると、アウシュヴィッツへの移送を免れるため、ベルリンに隠れているユダヤ人逮捕に協力を強いられる。生き残るために同胞を裏切ったステラは、終戦後、裏切ったユダヤ人仲間から裁判をかけられる…。
(公式サイト)
ストーリーは公式サイトのストーリーそのものかとは思いますが、その前に映画手法が…。
やたら動き回るカメラ、意味不明なモンタージュ、そもそも挿入されるカットが何を撮っているのかもわかりません。突然変わるシーン、前後の関連が掴みきれません。
最初から最後までこの手法で撮られています。何をしようとしたんでしょうね。
冒頭、ステラ(バウラ・ベーラ)が仲間たちとジャズの演奏で盛り上がっています。ステラはヴォーカルです。後にワンシーンだけライブがありましたので稽古だったのかもしれません。まあここでは動き回るカメラもシーンと合っていますので許容できますが、それ以降はいただけません。何を伝えたいと思っているのかさっぱりわかりません。
考えてみれば(考えなくてもですが…)ステラ以外の人物は誰が誰だかよくわかりませんでした(笑)。
とにかくそんなこんなで意味不明はシーンの連続で、ステラの人物像もまったく一貫しておらず、いやいや人間そんなに一貫している人物はいませんが、それでも映画ですから何かを伝えるためには、この場合はステラの人物像、つまりはなぜステラは同胞を裏切ったかを描かずしてこの映画を撮る意味はないだろうということです。
で、結局、ステラはなぜだかわからないままに相当数の同胞をナチスに密告して死に追いやり、そして戦後には裁判で有罪になるも終戦直後にソ連に10年間抑留されていたことで帳消しになって自由の身になり、それでも老後、良心の呵責に耐えられなかったのか(ということを描いているわけではない…)自ら命を絶ちます。
という映画でした。
この映画、言ってみれば、素人が玄人の真似をしてあれこれやってみたものの、いくら手法を真似たところで本質的なものを理解していないがために駄作になってしまったという映画かと思います(ゴメン…)。