パリ・テキサス」や「アメリカ、家族のいる風景」のシナリオを書いているということで記憶していたのですが、監督としてはこれが2作目らしく、もともとは劇作家とのことです。
R・ハリス演じる老いた牧場主が、メディシン・ショウ(薬売りのアイルランド人の座主とインディアン女の間の長女を嫁にとったが、その娘が死に、息子は半狂乱で日々朽ちてゆく死体にしがみついている有り様。なんとかその悲しみを癒したいと、次女をくれないかともちかけに来たのである。馬二頭と引き替えだった姉より更に一頭余計にやるのを条件に……。ところが、これを怒った姉の亡霊(遺体と同じく不気味な死化粧を施してあり、現われるたび、顔面の腐敗が進んでいく)が息子や父、そして妹の前にしばしば姿を見せ、彼らを呪詛するのだった。(allcinema)
原題の「Silent Tongue」は、上の引用に、今では差別的表現とされる「インディアン女」と記されている一座の長マックリー(アラン・ベイツ)の妻のことで、舌を切られて喋れない上に、マックリーにレイプされて無理矢理妻にされ、二人の娘を産んだ女性のことです。そしてその長女アイバニーは、馬と交換で売られて、パリ・テキサス」や「アメリカ、家族のいる風景」との出来の違いを考えるとそれら二作のシナリオはどんなものだったんだろうと非常に興味がわく映画でした。