そんなには褒めないよ。映画評

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天使にショパンの歌声を

(ネタバレ)別れの曲の歌付きとピアノ演奏、どちらもかなりレベルの高い生歌、生演奏です。

2017/01/17

カナダ、ケベック州が舞台の映画です。

モントリオールが州都かと思っていましたら、ケベック市という都市があるようです。カナダには英語圏とフランス語圏があるのは知っていたのですが、ケベック州は公用語がフランス語のみらしいです。

この映画もフランス語です。

修道院が経営している寄宿学校が舞台ですので、時代が分かりづらく、おや?現代じゃない?と気づいたのがしばらくしてからでした。1960年代とのことです。

監督:レア・プール

ケベックの小さな寄宿学校。音楽教育に力を入れる名門女子校だったが、修道院が財政難に陥り、閉鎖の危機に直面する。校長は音楽の力で世論を味方につけようと、音楽イベントを計画する。そんな中、校長の姪のアリスが転校してくる。彼女にピアニストとしての才能を見出した校長は、期待するが、孤独で心を閉ざしたアリスは、誰の言うことも聞かない問題児だった。(公式サイト)

ていねいに作られており、音楽を聞かせる、そんな映画です。

上の引用にあるように、修道院が経営する学校に、教育改革という名のもとに(多分)助成金削減という波が押し寄せ、まずは女子校からという経営判断により、上層部の方針に逆らい音楽教育優先を続けるこの学校が閉鎖の危機に直面します。

そこで、校長のオーギュスティーヌ(セリーヌ・ボニアー)は、マスコミ向けに音楽がいかに情操教育に有効か、またこの学校がどれだけ優秀な生徒を送り出しているかをアピールし、存続させるために力を尽くします。

物語の軸はもうひとつあり、ある日、オーギュスティーヌの妹が娘アリスを預かってくれとやってきます。アリスはピアノに天才的な才能をみせますが、(多分)親が無理やり寄宿舎に入れたと考えており、なかなか素直になりません。

しかし、母親がアリスを姉に預けたわけは、自分が病に冒されており先が長くないと考えたから(のよう)です。

そして、ピアノのコンクール、アリスは優勝しますが、母親は亡くなり、そして学校も売却されてしまいます。

といった内容が、さらりと描かれていきます。

いかようにも盛り上げられそうな物語ですが、かなり抑えめに作られています。レア・プール監督の持ち味でありセンスなんでしょう。その点では好感が持てますが、何かもうひとつ足りない印象は拭えません。

大半を占める雪景色もきれいですし、春(初夏?)の風景も美しいです。ただ、そうしたカットも、他のシーンの緊張感が足らず間延びした印象を受けます。

音楽で見せる意図なのでしょう。

特にアリスを演じているライサンダー・メナードさん、え?弾いているの本人!? とびっくりしたのですが、公式サイトによりますと「2012年には“カナダを代表する未来の音楽家30人”のうち1人に選ばれ」た実力の持ち主で、もうコンサート活動をしている音楽家とのことです。映画出演は初めてということのようです。

いきなり演奏するバッハのジャズアレンジを凄いですし、「別れの曲」も聴き応えありました。

さらに、歌付きの「別れの曲」も良かったですね。あれもスザンヌ役のエリザベス・トレンブレイ=ギャニオンさんの生歌とのことです。

ということで、音楽は良かったのですが、もう少し感動させて(笑)というところでしょうか。

ところで、妙に印象に残ったのですが、結局あまり意味がなかったカットがありました。

一面雪景色の中、校長ともう一人の修道士が歩いていくのですが、その先に物置のような建物があります。前後の流れからは学校の近くだと思いますし、そこに向かっている感じだったのですが、そうでもなく終わっていました。

で、忘れていましたら、雪のなくなったややぬかるんだ同じ場所を、今度は校長ひとりだったかもしれませんが、ほぼ同じように歩いていくカットが後半に出てきました。

あの建物は何だったのでしょう?

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